学校伝統の制服、生徒らの声で「あり方」変化 加古川東高は24年度から購入任意に 兵庫

私服と制服の生徒が混在する加古川東高の正門前=加古川市加古川町粟津

 機能性向上や性別にとらわれない服装などの観点から、制服を一新する高校や中学校が出ている中、加古川東高校(兵庫県加古川市加古川町粟津)は2024年度入学生から、制服(詰め襟・セーラー服)の購入を任意とした。23年度からは私服の併用が可能になっており、新調とはまた異なる方向性は制服の「あり方」に一石を投じそうだ。(中川 恵、宮崎真彦)

 制服、部活のジャージー、パーカにズボン…。朝の登校時、加古川東高の正門には多様な服装の在校生が通り抜ける。1年生を中心に半数近くが制服以外で登校するという。

 21年度に制服検討委員会を立ち上げ、話し合いを重ねた。生徒や保護者、卒業生らに意見を募ると、一体感や伝統を重んじ現在の制服を支持する声がある一方、「自転車利用なのでスカートよりもズボンがいい」などと制服の見直しを求める声も。「私服も制服も着たい」という意見もあった。

 そこで、23年度から私服登校を認めた。9月には規定を見直して式典などでの制服着用も任意とし、黒・紺系統のスーツやブレザー、スラックスやスカートに白色無地のシャツといった「ふさわしい服装」であればよいとした。

 私服登校の2年生(17)は「セーラー服は温度調節が難しい。雨の日はズボンタイプのかっぱをはくので断然ズボン」。制服のワイシャツとセーターを着た2年生(16)は「制服は迷わず着られるし、安心できる」という。

 同校は「これでベストだとは思っていない。今後も議論を続け、例えば統一の制服を望む声があれば変更もあり得る」とする。

    

 創立の節目に合わせて、同県東播地域の学校では制服の刷新が相次ぐ。東播磨高(稲美町中一色)は創立50周年に合わせ、23年度から制服を新調。制服はテスト期間や式典での着用が求められる標準服の位置付けで、普段は私服登校も可能だ。

 22年に110周年を迎えた加古川西高(加古川市加古川町本町)も24年度にスーツタイプの制服を導入。荒井中(高砂市荒井町千鳥3)も24年度、詰め襟・セーラー服をブレザータイプに変更する。

 各校の制服見直しで共通するのは男女を問わずズボンやスカートを選べること。荒井中生徒会長の3年榎本貴仁さん(15)は「女子も男子もズボンやスカートがはけるのはいいと思う」と話した。

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