青森県産米「つがるロマン」販売終了へ 高温に弱く作付け減少 新品種「はれわたり」転換進める

コメ売り場に並ぶ県産米。おなじみの米袋に入った「つがるロマン」は、来年産以降ほぼ見られなくなる見通し=20日、青森市内のスーパー

 青森県民に長年親しまれてきた県産米「つがるロマン」が、本年産を最後に店頭から姿を消すことになる。夏場の高温に弱い欠点から作付面積が年々減少する中、県や生産・販売団体などは、今年全国デビューした新品種「はれわたり」への切り替えを進めることで合意。2024年産からは種子が流通しなくなり、つがるロマンの生産はほぼ行われない見通しだ。

 つがるロマンは食味重視で開発され、1997年にデビュー。主に津軽地域で栽培され、2000年代には主食米の県内作付面積のうち半分以上を占めた。

 だが、10年と12年に夏場の高温で米粒にひびが入る「胴割れ」が多発。業務需要の高まりもあり、多収で栽培しやすい「まっしぐら」への転換が進んだ。つがるロマンの作付面積は20年産で約8千ヘクタールと、10年前の約2万5千ヘクタールから大幅に減少。県内の作付け割合も2割ほどにまで縮小していた。

 はれわたりのデビュー前には一時、つがるロマンを存続させる案もあったが、県や全農県本部、県生活協同組合連合会など関係団体でつくる検討委員会が今年5月に策定した「あおもり米販売戦略」では、胴割れしにくいはれわたりへ置き換えを推進する方針を明記。猛暑が常態化しつつある中、栽培しやすさや食味の良さを総合的に勘案した。

 この流れを受け、県農産物改良協会は今年6月に開いた定時総会で、24年産からつがるロマンの種子供給を停止し、はれわたりへ全面転換することを決定。来年以降、つがるロマンは自家採種での生産は可能だが、店頭に出回る見込みはほぼなくなった。つがるロマンの販売については、全農県本部が24年3月ごろをめどに本年産を売り切る方針。県米穀集荷協同組合は22年産を最後に取り扱いを終了している。

 県農産園芸課の大和山真一課長は「ロマンは04年産から19年連続、食味ランキングで(上から2番目の)A評価を取得しているおいしいお米。青天の霹靂(へきれき)が出る前から長く県産米をけん引してくれて感謝しかないが、やはり胴割れが多く、農家の所得確保のためにも新品種と入れ替わるのは自然の流れ」と語った。

 つがる市の農家工藤康記さん(43)は、今年つがるロマンを作付けした1.6ヘクタール分を来年は全てはれわたりに切り替えるという。「生産者視点だとロマンは作りづらかった。環境に合った管理しやすい品種に替わっていくのも一つの進化だと思う」と話した。

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