「LRT一日乗車券どう使う?」記者が聞いてみた 全停留場下車の夢叶う、鉄研は“同窓会” 元鉄道マンの目もキラリ

記者も一日乗車券を購入し、利用者に話を聞いた

 次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線は26日、開業から3カ月を迎えた。全線で1日乗り放題となる一日乗車券は、今月3日の販売開始から約1300枚が発行され、好評だという。記者も同券を購入し、利用者に話を聞いてみると、大半はLRTの乗車自体が目的で、「沿線の魅力が増せば、もう一度乗ってみたい」との声が聞かれた。

 一日乗車券は大人料金が1人千円。カード型で、首からかけて乗降車する。26日は午後2時までに約80枚が販売された。さいたま市の金子正史(かねこまさし)さん(62)は浦和高鉄道研究会のOB。同窓会を兼ねて当時の同級生と乗車した。「途中下車して車両基地とトランジットセンターを見たい」と鉄道ファンの目線。「一般の観光客が巡るような場所は少ない印象」と話す。

 沿線には飛山城史跡公園など観光スポットが点在し、「おでかけガイド」も配られているが、記者が話を聞いた6グループとも「LRT乗車が目的」だった。

 千葉県から母親と来た小学6年石塚佑馬(いしづかゆうま)君(12)も、真岡市から家族4人で来た同5年宮本春葉(みやもとかずは)君(11)も鉄道好き。LRTの全線走破を目標にした。特に宮本君は「全ての停留場で下車したい」といい、一日乗車券の販売を待っての“念願の”乗車。目的が達成されても「もしも『沿線スタンプラリー』が登場したら、何度でも乗る」と期待した。

 飛山城跡停留場で出会ったのは大阪市の上田隆和(うえだたかかず)さん(70)。元阪急電鉄社員といい「これから、だんだんと沿線に見どころが増えていくと思う。阪急もそうだった」とした。

 「LRTがなかったら宇都宮に来ることはなかったかも」とは、両親と乗車した横浜市の早川剛(はやかわつよし)さん(39)。LRTは全線走破と車両基地を見るだけで、午後はJR宇都宮駅の西側観光へ。「沿線のスポットが話題になったら、もう一度乗りに来たい」と話した。

 3カ月が過ぎても、LRT自体に鉄道ファンら多くの人々を市内に誘導する効果が持続していると実感できた。一方で春夏秋冬、リピートにつながる沿線の魅力を発掘し、磨き上げ、PRする取り組みはこれからが正念場かもしれない。

一日乗車券でLRTの旅を楽しんだ浦和高鉄道研究会OB

© 株式会社下野新聞社