「伝統の灯」絶やさない 地唄舞継承者・足利の俵さん あす3年ぶりに地元公演

地唄舞を披露する俵さん

 【足利】伊勢町3丁目、舞踊家俵菜緒(たわらなお)さん(48)は23日、駒場町の栗田美術館山荘で、日本舞踊の一種「地唄舞」を披露する「地唄舞を楽しむ会」を開く。俵さんは全国でも数少ない継承者の一人。伝統文化が衰退傾向にある中、「ともしびを消したくない」との思いを胸に舞台に臨む。俵さんの市内での公演は3年ぶり。

 地唄舞は、江戸時代に京阪地方で発展した。主に座敷で舞われることを前提とし、感情を内に秘めた舞で、憂いや艶を表現する。

 俵さんは母の勧めで3歳から始め、6歳で初舞台を経験。国立劇場や能楽堂で経験を重ね、約20年前に流儀を独立した。県内外で年1回の公演を行っている。

 近年、伝統文化の衰退に比例して、地唄舞も「絶滅危惧種」となりつつあるのが実情だ。新型コロナ禍が追い打ちをかけ、鑑賞者も減少傾向にあるという。

 俵さんは「あらがいようのない時代の変革が訪れている。辞めれば楽と思う」と本音を漏らすが、「そうなれば、素晴らしい日本文化が消えてしまう」と危機感を募らす。

 今回は、京都・壬生寺に伝わる滑稽あふれる壬生狂言を題材にした「三国一」と、能を題材とした「山姥(やまんば)」を俵さんが舞うほか、重要無形文化財保持者(人間国宝)の能楽師、津村禮次郎(つむられいじろう)さんが能「山姥」を披露する。地唄舞と能の違いも堪能できる。

 俵さんは「日本文化を気軽に楽しんでもらいたい」と呼びかけている。

 午後3時開演。チケットは6千円(29歳以下3千円)。チケット購入者は栗田美術館の入館料(一般1250円)が500円になる。(問)事務局0284.41.2776。

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