恐竜化石、切断せずにCTで脳の構造推定 トリケラトプスは「鼻が悪く素早い動き苦手」と解析

CTを活用した恐竜化石の研究について専門家が解説した県民公開講座=11月26日、福井県福井市のアオッサ県民ホール

 コンピューター断層撮影(CT)を活用した恐竜化石の研究に関する福井県民公開講座が11月26日、福井県福井市のアオッサ県民ホールで開かれた。貴重な化石を切断せずに、空洞の状態から脳や内耳の構造を推定することで恐竜の生態を解明する特徴を紹介した。

 福井県立大恐竜学研究所の河部壮一郎准教授は、トリケラトプスの化石の解析結果を示し、全長9メートルほどに対し脳の大きさはテニスボール3個分程度と説明。においの情報を処理する「嗅球(きゅうきゅう)」や、バランス感覚をつかさどる三半規管を他の恐竜と比較すると、「鼻が悪く素早い動きも苦手だっただろう」とした。また、聞こえやすい音の高さなどもCTから分かると語った。

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 勝山市で化石が発見されたフクイベナートルに関する研究では、動きが素早く、広い音域を聞き分け、嗅覚も優れていたとの推定を披露。「森の茂みを素早く走り、昆虫を食べていたのかもしれない」と語った。

 講座は、福井県診療放射線技師会が「中部放射線医療技術学術大会」の一環で企画。親子連れら約250人が聴講した。

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