悲願の初優勝を成し遂げたJ1神戸 で、パレードはあるん? 実現に高いハードルも、サポーター熱望「観客は阪神の10分の1でいい」

ヴィッセル神戸の看板が掲げられる神戸・三宮。周辺では阪神とオリックスの優勝記念パレードが行われた=神戸市中央区雲井通8

 クラブ創設から29年目にして、悲願のサッカーJリーグ1部(J1)初優勝を成し遂げたヴィッセル神戸。熱狂冷めやらぬサポーターにとって気になるのが「優勝パレードないの?」だ。神戸では今月、プロ野球阪神とオリックスの同日パレードが行われたばかりとあって、「ヴィッセルも」と熱烈な声が湧き上がる。ただ、日程的に厳しいなど実現へのハードルは高そうだ。(高田康夫、有島弘記、小野坂海斗)

 J1優勝チームのパレードは、2018年の川崎フロンターレが最後。その後は新型コロナウイルス禍もあり、地元での優勝報告会のみとなっている。また、この20年間に初優勝したのはヴィッセルを含めて7チームあるが、うちパレードの開催を確認できたのは浦和レッズ(06年)、サンフレッチェ広島(12年)、川崎フロンターレ(17年)の3チームだった。

 要因の一つが日程的な難しさ。11月23日の神戸、大阪同時パレードで計約100万人が詰めかけた阪神とオリックスの場合、リーグ優勝が決まったのは、阪神が9月14日、オリックスが同20日。パレードまで2カ月以上あった。一方、11月下旬から12月に優勝が決まるJ1では、年が明けると新チームが始動するため準備期間が短い。

 資金集めも課題とみられる。阪神とオリックスのパレードは、兵庫県や大阪府などでつくる実行委員会が広く事業費を集めるクラウドファンディングを実施したが、目標5億円の2割程度にとどまっており、残りは企業協賛金などで賄う。ヴィッセルが年内パレードを行うための十分な資金を得るには、時間が足りないのが現状だ。

 「現時点で具体的な予定はありません」。ヴィッセル優勝直前の24日、神戸市スポーツ企画課は取材に対し、そう答えた。担当者は「ホームタウンのチームなので、何らかの形でお祝いをしたいが、いろいろな人の意見を聞いて検討することになる。パレードだけがお祝いではない」と話す。ヴィッセルの関係者も「準備期間を考えると、パレードの実施を(自治体などに)お願いできない」としている。

 とはいえ、29年も待ち続けたサポーターからはパレードを望む声が相次ぐ。優勝を決めた25日、ノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)に応援に駆けつけた小学5年生の男児(11)=兵庫県丹波市=は「パレードがあるなら、近くで大迫(勇也)選手を見たい」と期待する。

 神戸市須磨区出身で、「子どものころはスタジアムはガラガラだった」と振り返る福岡市の会社員男性(28)は「今は満員になるほど存在感が高まった。神戸での確固たる地位を築き上げるためにも、ぜひパレードを」。神戸市中央区の会社員男性(45)も「観客は阪神の10分の1でいい。関西を盛り上げるためにもしてほしい」と要望した。

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