水族館の城崎マリンワールド(兵庫県豊岡市瀬戸)で17日、7月4日に生まれた雄のトドの赤ちゃんの一般公開が始まった。同館でのトドの赤ちゃん誕生は22年ぶりで、全国から寄せられた455件の名前案から「カナタ」と命名された。当面は、夕方に時間を限定して公開される。(阿部江利)
カナタは、「日本一言葉が分かるトド」として名高い雌ハマと、芸達者な雄シュンタの子。トド担当の飼育員佐々木雅大さん(34)によると、十数時間という難産の末に生まれ、ハマも愛情を注いだものの授乳が確認できず、人工保育に切り替えて育てられた。当初はミルクを吐いたり、便が出なかったりと心配が絶えなかったという。
名前は、宝塚市の芳﨑洋子さんの案が採用され、「(赤ちゃん誕生の)夢がかなった」「未来のかなたまで幸せを運んで」などの願いを込めたという。誕生時に12キロだった体重は60キロまで増え、1日に5リットル以上のミルクを飲み、すくすく育つ。
17日、屋外の大きなトドプールに登場したカナタは、大人のトドたちをものともせずにプールに入り、小さなひれを力強く動かしては素早い泳ぎを見せた。佐々木さんは「公開の日を迎え、広いプールを元気に泳ぐ姿を見て最高の気分です」とし、「最初は泳げず、水も怖がっていたのに…」としみじみ振り返る。
まずは健康に元気に育ってほしいとし、「小さい時期は一瞬で終わってしまう。ぜひ会いに来てファンになり、一緒に成長を見守って」と呼びかける。
城崎マリンワールドTEL0796.28.2300