巨大盤で「バッティング」 障害あっても楽しめる「ユニバーサル野球」、青森県内初開催

声援を受け、バットのひもを引く選手
ユニバーサル野球場の前で記念撮影する選手ら=いずれも26日、むつ市

 障害の有無や年齢にかかわらずバッティングを楽しむことができる「ユニバーサル野球」のイベントが26日、青森県むつ市のむつマエダアリーナで開かれた。重症心身障害児(者)と親の会「輪いどの会」(むつ市)や市内の小学生の野球チーム、高校の野球部などから約60人が選手として参加し、試合を楽しみながら交流を深めた。

 人気ボードゲーム・野球盤を約10倍の大きさにしたユニバーサル野球は、鉄道車両整備などを行う東京都の企業が開発した。約5メートル四方の球場にホームラン、ヒット、アウトのゾーンがあり、選手がバットに付いたひもを引くとバネでバットが動いてボールを打てる仕組みになっている。

 ユニバーサル野球ができるイベントは県内で初めて。同市の一般社団法人「りあん」(中西直美理事長)が、障害者に野球を楽しんでもらうとともに、地域住民との交流のきっかけをつくろうと企画。市と市内のロータリークラブが共催した。

 参加者は1チーム13、14人の4チームに分かれて試合を行った。「かっとばせ」「頑張れ」などと声をかけながら、ペットボトルと太鼓を打ち鳴らして仲間たちを応援し、ヒットやホームランが出ると、飛び上がったりハイタッチしたりして一緒に大喜び。下北ジュニアウインドオーケストラが応援歌を演奏して盛り上げた。

 試合後、第二田名部小6年の川島廉太郎君は「僕の弟も障害があるので、こんな形で一緒に野球ができたらいいなと思った」、むつ工業高1年の新藤煌(こう)さんは「みんなが楽しめる野球ができた思い出をずっと残していきたい」と語った。

 中西理事長は「みんなが同じ気持ちで一体となることができた。日常でも壁を取り払い、共生できる社会につながるきっかけになればと思う」と話し、娘の未空(みく)さん(22)は「ヒットを打ててうれしかった。またやりたい」と笑顔を見せた。

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