唐津市七山の大白木(おおしらき)地区に伝わる収穫祝いの行事「大白木の亥(い)の子さま」が同地区で開かれた。3月に文化庁の「記録作成等の措置を講ずべき無形民俗文化財」に選択されて以降、初めての開催。子どもたちが稲わらを被って家々を訪れた。
収穫に感謝して子どもの無事な成長を祝うもので、旧暦10月最初の「亥の日」前後に行われる。
小中学生ら約15人が2班に分かれ、もち米の稲わらで作った傘状の「ワラトビ」を頭にかぶって約30戸を訪れた。「トービトビトイトイトイ」と唱えながら土間をぐるぐる回った。玄関の上がり口に菓子などが供えられ、子どもたちを出迎えた。
全国各地の民俗文化財を見て回っている森近義弘さん(75)は車で香川県まんのう町から夫婦で駆け付け、「古い風習が長く受け継がれている」と感心した様子。大白木こどもクラブの鬼木敏裕代表(36)は「子どもの頃の思い出として記憶に残っている。これからもできる限り長く続けていきたい」と話した。(松岡蒼大)