宝塚歌劇団員転落死 遺族が劇団と面談「パワハラ否定で解決ありえない」

宝塚大劇場=14日、宝塚市栄町1

 宝塚歌劇団宙組に所属する俳優の女性(25)が9月に急死した問題で、24日に歌劇団と面談交渉を終えた遺族が27日、代理人の弁護士を通じてコメントを発表した。遺族側は歌劇団に対し、改めて上級生らから女性へのパワハラがあった事実を認めるよう求め、「パワハラが否定されたままで、合意解決することはありえない」と訴えた。

 歌劇団は14日、弁護士らのチームによる調査報告書の概要を公表。過重労働は認定したものの、遺族が主張していたパワハラは認めていなかった。

 遺族代理人の川人博弁護士らは、面談で「調査報告書のパワハラ否定の根拠は事実認定も評価も間違っている」と主張。さらに、歌劇団が調査を頼んだ大阪市の弁護士事務所に、阪急電鉄の関連企業の役員が所属していることが分かり、調査チームは「外部性・独立性がない」と批判した。改めてパワハラの事実を認め、阪急電鉄と歌劇団に謝罪と補償を要求したという。

 一方、歌劇団側はパワハラについて「現時点で特定のパワハラの存在を認めていない」としつつ、「報告書に拘泥することなく、遺族の主張を真摯に受け止め、引き続き協議したい」と示した。

 また批判された調査チームは「第三者委員会ではないが、独立性がある」と反論。風土改革については「第三者委員会を設置する予定はないが、外部有識者の意見も聞きながら劇団の責任で進めていく」とした。

 遺族側は11月末か12月初旬ごろ、必要な証拠を付けて歌劇団の調査報告書に対する批判書面を提出する。12月後半に次の面談交渉を予定しているという。

 遺族側の発表を受け、歌劇団は「ご遺族のお気持ちやお考えを真摯に受け止め、誠実に協議してまいる所存です」などとするコメントを出した。(末永陽子、小尾絵生)

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