止まらない「フィッシング詐欺」に国民生活センターが注意喚起…被害回避のためのチェックリスト

日頃利用している事業者等からのメールでも、まず「フィッシング」を疑う必要がある(beauty-box / PIXTA)

【全国の消費生活センター等に寄せられた2022年度におけるフィッシングに関する相談は、14,352件になっています。その後、2033年度は6,112件と、2022年度の同期件数(6,516件)とほぼ横ばいの状況で、引き続き多くの相談が寄せられています】(国民生活センター・ホームページより)

11月8日。国民生活センターはSMS(ショートメッセージサービス)やメールでの“フィッシング詐欺”の相談が依然高水準だとして注意喚起するとともに、フィッシング対策のチェックリストを作成、公表した。

同センターが公表したチェックリストには事業者や公的機関などのSMSやメールを見る時の注意点や、フィッシングサイトにアクセスしたと気づいた場合の対処法。また、日頃からの事前対策についての注意点や実際の相談事例が挙げられている。以下に同センターに実際に寄せられた相談事例を紹介しながら、同センターが提唱するチェックリストを見てみよう。

年々巧妙になる「フィッシング詐欺」の手口

「不在通知のSMSが届き、パスワード等を入力したらキャリア決済で課金された」

【宅配業者から不在通知のSMSが届き、詳細を確認するために記載されていたリンク先のURLからログインしてパスワード等を入力した。その後、キャリア決済によって身に覚えのないオンラインゲームで約1万5,000円が課金されていたことがプラットフォーマーからの請求明細メールでわかった。返金してほしい。】

今年5月に寄せられた50歳代女性からの上記の相談には、誰しもが1度は目にしたことがあるような宅配業者からのSMSに、うかつにもログインしたために被害に遭ってしまったことが見て取れる。先の事例のようなフィッシング詐欺は年々巧妙になっている。次に紹介する事例では40歳代の女性から、自身が利用している銀行を名乗るメールを信用し、「個人情報を入力したことで被害に遭ってしまった」との相談が寄せられている。

【自分が利用している銀行からスマートフォンにメールが届いた。利用制限を告げる内容やリンク先のURLが記載されていたので、フィッシングメールとは気づかずにURLをタップし、本物の画面と思って契約者番号、パスワードを入力した。その後、同じ銀行のATMから出金しようとしたら残金が0円になっていて驚いた。銀行に連絡し、口座を凍結してもらったが、別の銀行の口座に約20万円の送金履歴があるとのことだった。送金されてしまったお金を返してほしい。】

少しでも “不安”に思う点があれば…

同センターでは、紹介した事例のようなフィッシング詐欺に遭わないためにも、作成した次のチェックリストの内容を心掛けるように提唱している。

〈事業者や公的機関などのSMSやメールを見る時には〉
■日頃利用している事業者等からでも、まずフィッシングを疑う
■記載されているURLにはアクセスせず、事前にブックマークした正規のサイトのURLや、正規のアプリからアクセスする
■事前のブックマークがない場合や、少しでも不安に思う点があれば、事業者等の正規のサイトでフィッシングに関する情報がないか確認する

そして、フィッシング詐欺にアクセスしたと気づいた場合には「ID・パスワード、クレジットカード番号等は絶対入力しない」「フィッシングサイト上のアプリをダウンロードしない」。さらに、万が一フィッシングサイトに情報を入力してしまった場合には「IDやパスワードの変更」「クレジットカード会社や金融機関などに連絡する」ことなどを奨励している。

また、日頃からの事前対策としては、「セキュリティソフトや携帯電話会社の対策サービスを活用すること」「ID・パスワード等の使いまわしをしないこと」他が必要だと注意を促す。

年々巧妙化するフィッシング詐欺に遭わないためにも、日頃からの自己防衛が必要な時代となってきている。

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