市川團十郎ら親子が参加、京都の風物詩「まねき上げ」に賑わい

京の年中行事『吉例顔見世興行』で襲名披露公演をおこなう、十一代目市川海老蔵改め、十三代目市川團十郎白猿。11月26日に、娘・四代目市川ぼたんと、息子・八代目市川新之助とともに、会場の「京都南座」(京都市東山区)のまねき上げに立ち会い、一家で公演の意気込みを語った。

「京都南座」でおこなわれた冬の風物詩「まねき上げ」に参加した市川團十郎、市川新之助、市川ぼたん(11月26日・京都市内)

● 京都の冬の風物詩「まねき上げ」

劇場の入口一面に、出演する役者の名前がずらりと並ぶ「まねき」。「客席がぎっしりと埋まりますように」の願いから、太くて隙間のない「勘亭流」という文字で描かれた役者の名前が、これまた極力隙間が出ないように掲げられた風景は、年末の京都の風物詩となっている。

市川團十郎の「まねき」が上げられる様子(11月26日・京都市内)

團十郎・ぼたん・新之助は、まず南座の氏神である「八坂神社」(京都市東山区)で公演成功を祈願。その頃南座では、最後のピースとなる「市川團十郎」のまねきを設置する作業が行われ、無事に上がると「成田屋!」の大向うまで飛んだ。

●「誇りに思って一生懸命頑張っていきたい」(ぼたん)

成功祈願を終えた團十郎たちは、南座の入口で挨拶。團十郎は「團十郎のまねきは、父(十二代目)が10年ほど前に最後に来てから、久々に上がります。また、まねきの量が72枚というのは、54年ぶりだそうです」と感慨深く語るとともに「歌舞伎界に取りましても華やかな興行となる次第でございますので、ぜひお友達やご家族を連れてご覧いただきたいと思います」と観劇を呼びかけた。

「京都南座」での「まねき上げ」にて挨拶をおこなう市川ぼたん(11月26日・京都市内)

そして『男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)』(昼の部)で父と共演するぼたんは「父と弟が舞台に立って憧れていた、南座に立つことができて嬉しいです。『市川ぼたん』というまねきが上がるのも本当にうれしいですし、誇りに思って一生懸命頑張っていきたいと思います」と、かわいらしく喜びを語った。

●「12月の舞台をぜひ見に来てください」(新之助)

また、襲名後としては初めての南座の舞台で、『外郎売(ういろううり)』(昼の部)に挑む新之助も「市川新之助という名前になって、初めてまねきに上がらせていただいたので、すごくうれしいです。12月の舞台をぜひ見に来てください」と、しっかりと挨拶。最後は團十郎が手締めをおこない、劇場前に集まった大勢の人々と公演の成功を祈った。

「まねき上げ」で意気込みを語る市川新之助(11月26日・京都市内)

『當る辰歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎』は、12月1~24日に上演。昼の部はほかに『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 角力場』『景清』を。夜の部では『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』『口上』『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』を上演する。チケットは1等席2万5000円、2等席A1万2000円ほかで、現在発売中(一部完売の回あり)。

取材・文・写真/吉永美和子

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