ベクター・スポーツがイソッタ・フラスキーニへの関与停止を発表。LMHメーカーの契約違反を主張

 ベクター・スポーツは11月27日、パートナーシップを結んでいたイソッタ・フラスキーニのLMHプログラムに関与しないことを明らかにし、同チームが2024年のWECに参戦しないことを発表した。

 ベクター・スポーツは、来季2024年のWEC世界耐久選手権シーズンでのデビューに向けて開発が進められてきた新型ル・マン・ハイパーカー『イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6 LMHコンペティツィオーネ』のテストおよびレースチームとして機能することで、イタリアの老舗メーカーと合意していた。

 ベクター・スポーツの声明によると、イソッタは「再三の要請にもかかわらず」ハイブリッド・エンジンを搭載するミケロット製プロトタイプカーやそのデータを公開していない。このため、同チームのコマーシャル・ディレクターは「あからさまな契約違反」を主張している。

 チーム代表であるゲイリー・ホランドは、「イソッタ・フラスキーニの姿勢について、我々が感じている落胆のレベルを言葉にするのは難しい」と語った。

「2024年に向けたレースカーのテストと開発について、以前から確固たる合意があったのにもかかわらず、私たちはこの新しいハイパーカーの開発に最小限のアクセスと意見しか与えられてこなかった」

「そのため、イソッタの開発がどのように進んでいるのか、まったく把握できていないんだ」

「ベクター・スポーツは、WECシーズン終了前に発表されたとおり、2024年のELMSヨーロッパ・ル・マン・シリーズにLMP2チームとしてエントリー登録したが、現時点でWECでの選択肢はない」

「しかし、私たちはすでに2025年に向けて前向きな交渉に入っており、我々の価値観と野心に合致するメーカーとWECで仕事ができることを楽しみにしている」

 2年前に世界選手権デビューを果たしたベクター・スポーツは、WECからLMP2クラスが除外されたにもかかわらず、ELMSでLMP2プログラムを継続する予定だ。

「2022年12月に署名した我々の契約には明確な条件が含まれているが、イソッタ・フラスキーニはそれを守っていない」とベクターのコマーシャル・ディレクターであるアダム・ショアは付け加えた。

「彼らのやり方は非妥協的で、最終的には明らかな(契約)違反だ。もちろん、我々にはさまざまな法的選択肢が用意されているが、我々はプロフェッショナルなレーシングチームであり、WECとその利益を最優先している」

「ゲイリー(・ホランド)が言うように、私たちは当面2025年に競争力のあるWECキャンペーンを行うため準備を完了させることに集中している」

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