小松美羽さんがフランスでライブペイント アートがつなぐ広島・廿日市市とモン・サン・ミシェルの絆

広島県廿日市市の宮島と、フランスのモン・サン・ミシェルはともに世界遺産を持つ街です。

この度、両者の友好を深める新たなアートが誕生しました。

神獣をモチーフにした独創的な作品で知られる現代アーティスト、小松美羽さん。

11月18日、小松さんはフランス北西部のモン・サン・ミシェルでライブペイントを行いました。

世界遺産の島でライブペイントが実現した背景には、広島との深い縁がありました。

初冬の冷たい雨の中、モン・サン・ミシェルを訪れたのは廿日市市の松本市長です。

ボノ市長らに出迎えられました。

★両市長やりとり

「お天気が残念なんですけど、ノルマンディーの典型的な天気です」

「(雨が年間)300日降ると聞きましたが、本当に300日降るんですか?」

「300日?それはないです」

宮島とモン・サン・ミシェルにはいくつもの共通点があります。

ともに海に浮かぶ世界遺産であること。

信仰の聖地として長い歴史があること。

そして、それぞれの国を代表する観光地であることです。

2009年には観光友好都市として協定を結びました。以来、お互いを訪問しあい、観光PRをするなど交流を深めてきました。

その後、どちらも市長が交代したことから、2024年の観光友好都市15周年を前に、あらためて、調印書を交わしました。

★松本太郎廿日市市長

「お互いの街にとってはもちろんフランスと日本の観光振興にとって新たな大きな1ページとなるよう願っています」

友好の証として今回廿日市市側が企画したのが、現代アーティスト、小松美羽さんによるライブペイントです。

小松さんは去年10月、大改修が終わったばかりの嚴島神社の大鳥居のたもとで平和への祈りを込め作品を描き上げました。

■小松美羽さん

「宮島の経験があったからこそ、フランスのモンサンミシェルに来させていただいている。なにひとつ生の中で無駄なことはないんだなと」

小松さんの創作の根源にあるテーマは「祈り」。

宗教は違えど、宮島とモン・サン・ミシェルの共通点も「祈り」の地であることです。

■小松美羽さん

「海という自然と向き合っていくって、簡単なことじゃないじゃないですか。環境的には厳しい海の上に聖域を建築されることの祈りの強さみたいなのは共通しているのかなと思います」

降りしきる雨と風の中、45分ほどで完成させたのは対になる2つの作品です。

1枚は廿日市市に、1枚はモン・サン・ミシェル市に寄贈されます。

モン・サン・ミシェルに贈られる絵には、平和の象徴の白いハトと7体の天使が描かれました。

■小松美羽さん

「平和への祈りと祈りに込められた慈愛の心、そして慈愛の祈りを込めて描きました」

「風と大気に恵まれて、風のエネルギーがある中で祝福されてライブペイントができたことを感謝します」

■ジャック・ボノ モン・サン・ミシェル市長

「小松さんのライブペインティングを通して、 人類とはなんて美しい作業が出来るのだろうと感慨深く思っています」

「この間に目の前で混沌と暗闇、平和と生まれ変わりが作り上げられていきました」

数多の共通点を持つふたつの街の絆はアートを通じてさらに強く、深まりました。

2024年6月には、モン・サン・ミシェルから廿日市に訪問団を迎える予定です。

【2023年11月27日放送】

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