いじめ疑われる重大事態で第三者委「学校対応は不十分」指摘、滋賀の中学校

滋賀県東近江市

 滋賀県内の私立中学校でのいじめが疑われる「重大事態」について、学校側の第三者委員会が11月27日、調査の経過報告書を公表した。生徒や保護者からの訴えを学校側がいじめと認知せず、第三者委の設置が遅れたことについて「本人の心身の苦痛に目を向け慎重に検討すべきだった」と指摘した。

 第三者委は校名を明らかにしていないが、関係者によると、事案があったのは東近江市の滋賀学園中学校。訴えているのは現中学3年生で、1年時に保護者が学校に事案を伝えた。生徒の欠席は、いじめ防止対策推進法が重大事態として速やかな調査を求める30日以上に及んだ。

 報告書は、学校側の生徒らへの聞き取りは、いじめ行為について直接的な質問はなく、いじめがなかったと判断するのは早計だったと指摘。第三者委設置は申し立てから1年以上が過ぎており、いじめ防止法の趣旨に沿っているとは言い難いとした。会見した学校側第三者委の長谷川誠委員長(神戸松蔭女子学院大学准教授)は「学校の対応が不十分だったと指摘せざるを得ない」とした。

 現在、学校側の第三者委による事実解明が遅れているとして、保護者の要望で県のいじめ再調査委員会も並行して調査する異例の形となっている。今後は組織を一本化して調査を迅速に進める方が保護者の意向に沿うとし、第三者委は27日付で解散し、後の調査は再調査委に引き継ぐ。再調査委は2024年3月末に報告書をまとめる予定。

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