忘年会シーズン、戻ってきた団体客 コロナ5類移行半年、飲食店や宿泊施設に予約続々【大分県】

「乾杯!」。忘年会を楽しむグループ客=24日夜、大分市都町

 忘年会シーズンがやってきた。県内の飲食店や宿泊施設では団体客の予約が増えている。新型コロナウイルスの「5類移行」から半年余りがたち、大人数での宴会を復活させた企業や団体が目立つ。年末に向けて繁華街にはにぎわいが戻りつつあるものの、物価高を受けた節約志向も見られる。

 金曜日の24日夜。大分市都町の居酒屋「ざ・もんぶらん」(70席)は約20人ずつの団体客が2組入り、「乾杯」の声が響いた。

 バレーボールチームの仲間など男女18人で訪れたグループはグラスを傾けながら、今年の活動や仕事などの話に花を咲かせた。

 大分市野田の大学生、梅木清颯(さやか)さん(20)は「これだけの人数での親睦の機会は初めて。ワイワイ盛り上がって楽しい」と笑顔を見せた。

 同店には今月初めから忘年会の予約が入り始めた。12月の週末を中心に40~50人の団体が来店する。飲食業界が落ち込んだコロナ禍のまっただ中とは「比べものにならない」と堤弘幸料理長(30)は言う。

 信用調査の東京商工リサーチ大分支店(大分市)が10月に実施したアンケートで、回答した県内企業37社のうち26社(70.3%)は「忘・新年会をする」との意向を示した。昨年から23.4ポイント増えた。

 泉都・別府市の旅館ホテルは、泊まりがけの忘年会の人気が再燃している。

 北浜のホテル「悠彩の宿 望海」は県内のほか、四国や山口からも団体客の予約が舞い込んでいる。1泊2食付きの宿泊プランを用意し、七つの宴会場がフル稼働する見込みだ。

 木村大成社長(48)は「昨年は少人数や家族単位の客がほとんどだったが、今年は団体客が戻ってきたことが大きい。コロナ禍を経て、近隣で宴会客を受け入れる施設が減ったことも影響しているのではないか」と話す。

 一方で、「客足の回復を実感できない」とこぼす店もある。

 今年は記録的な円安などによる物価高騰が続き、賃金も伸び悩む。消費者の財布のひもはまだ固い。

 大分市内のバーの男性店長(47)は「居酒屋に比べて単価を高く設定しており、景気が良くないことも相まって戻りは鈍いようだ。飲みに出るかどうか、様子見をしている人も多いのではないか」と語った。

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