ヤングケアラー支援へ連携事業 国福大病院など県内外5団体 居場所などの情報提供

 栃木県那須塩原市井口の国際医療福祉大病院が27日までに、大人に代わり日常的に家事や家族の世話をするヤングケアラーを発見して支援につなげる取り組みを始めた。認定NPO法人や同市など5団体による連携事業。病院が小児外来の患者らへの聞き取りを通してヤングケアラーをすくい上げ、居場所や食事などの支援を行う団体の情報を提供する。今後2年間にわたって取り組みを進めて検証し、同様の仕組みを他の地域や病院に広げていく考えだ。

 取り組みは国際医療福祉大病院のほか、認定NPO法人カタリバ(東京都)、那須塩原市、自治医大(下野市)、中央大(東京都)が中心となって実施。支援の届きづらいヤングケアラーやその家族をサポートしようと、同病院小児科の非常勤医師で自治医大小児科学講座の門田行史(もんでんゆきふみ)准教授(46)が関係者に声をかけ、6月から始めた。

 それぞれの情報を共有して連携する。病院は小児外来やリハビリテーション室に通院する患者やその家族に対し、問診などで困り事などを聞いてヤングケアラーを発掘。インターネット上の仮想空間「メタバース」で、同じ立場の子どもたちとの交流や学習の支援を行うカタリバや、那須塩原市内で食事支援などを実施する一般社団法人「Apple Base」の情報を提供する。

 那須塩原市は、病院や各団体などからヤングケアラーの情報を受け、ニーズに合わせた支援を紹介。ヤングケアラーのサポートを通じて、その家族が求める支援の窓口などにもつなげていくという。

 中央大はカタリバのメタバースの作成に協力。自治医大は取り組みを評価し、効果などを検証する。

 これまで数人のヤングケアラーを見つけ、支援を続けているという。門田准教授は「医療機関は患者を通して家族と信頼関係を構築しやすい。支援の情報もスムーズに伝えやすい」と強調。「ケアラー独特のニーズに対応するため、専門のコーディネーターの育成もしていきたい」と語った。

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