船×自転車で大村湾巡り 安田産業汽船、新観光「サイクルージング」 来春商品化へ

サイクリング後、船に自転車を乗り入れる大石知事=長与港

 サイクリングとクルージングを組み合わせた「サイクルージング」を長崎県観光の新たなコンテンツに-。大村湾で定期便を運航する安田産業汽船(長崎市、安田舟平社長)は本年度、「大村湾サイクルージングプロジェクト」を始めた。地元の海を活用した観光消費額の拡大を目的に、県や沿岸市町、県観光連盟、民間事業者などが協力。新航路として商品化し、来春からのサービス提供を目指している。
 サイクルージングは、自転車と共に乗船して海上旅を楽しんだり、下船先で自転車旅や観光を楽しんだりするもの。9市町が面する大村湾を舞台にすることで、これまで長崎、佐世保両市に集中していた観光客の旅先を広げる狙いもある。

大村湾サイクルージングで提案する「やきうお」=西彼時津町

 大村湾サイクルージングは湾内の各港を周遊する定期便を使い、参加者が好きな地点で乗り降りする構想。現在、長与や時津、大村、琴海などでルート開発を進めている。地元事業者と連携した体験型観光や、県産魚の刺し身を七輪であぶり薬味を付けて楽しむ「やきうお」など食の提案も組み合わせて売り出していく。
 商品化に先駆けて16日、大石賢吾知事と県民が意見交換する「こんな長崎どがんです会」の一環で、サイクルージングの体験会を西彼長与町などで開催。知事ら参加者は、大村湾沿いを電動自転車で走り、途中下車して地元名産のミカン狩りなどを体験。その後、自転車を船に乗り入れ、長与港から時津港までの船旅を楽しんだ。
 下船後の意見交換会で大石知事は「その土地の匂いや風を感じられ、地域の人と触れ合うこともできる。さまざまな観光を組み合わせられポテンシャルは高い」と感想。他の参加者からは、カキ焼きなど体験メニューの提案や、客単価を上げるためのアイデアが出された。
 安田社長は「関係者と密に連携して大村湾全体で売り出し、多くの人に喜んでもらえる設計にしていきたい」と意気込みを語った。

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