地方に配慮した国スポに

 戦後の1946年に始まった国民体育大会(国体)が、来年の佐賀大会から国民スポーツ大会(国スポ)に改称される。その在り方について、日本スポーツ協会が「各県持ち回り開催廃止」など改革の可能性を探る中、全国知事会も「タブーを恐れず検討する」という姿勢を示した▲知事会の見直し理由は「人口減に伴う行政スリム化の一環」。経済負担や長期間の準備などが問題だとして、来年度中にも提言を取りまとめるという▲確かに何度も国体取材をしてきた側から言わせてもらえば、運営面を含め改善点は多い。例えば都道府県対抗の天皇杯順位は冬季、秋季大会の合計点で競われるが、雪のない九州勢の冬季得点はほぼゼロ。選手を探して参加している状態で、ここに経費を使うのはナンセンスだ▲一方で国体が地域スポーツ振興を支えているのも事実。諫早市のトランスコスモススタジアム長崎(トラスタ)をはじめ、各地の大規模な県、市立の競技場などは、国体開催に伴う国の補助があったからできたものが多い▲逆にもし、この県内で唯一Jリーグ参入要件を満たしたトラスタがなかったとしたら。V・ファーレン長崎のリーグ参入も遅れに遅れていただろう▲時代に応じた改革は必要だ。そこに地方の声が反映されることを切に願っている。(城)

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