薄暮となる大阪の街に、一筋の光が伸びる。鮮明なだいだい色は、まるでろうそくの炎のよう。ほどなく、闇に溶けて消えた。
光を放つのは、地上約300メートルの高さを誇る大阪市阿倍野区の超高層ビル「あべのハルカス」。直線距離で約25キロ離れた兵庫県宝塚市の高台から遠望できる。夕日が摩天楼だけに反射し、不思議な光景を描く。
同市中山桜台の井草晋一さん(72)によると、同市の山手の住宅街からは毎年1月と11月の21日前後にだけ見られるという。妻の和子さん(62)が2015年に初めて気付き、以来、夫妻は「あべのハルカス・キャンドル」と名付けて観賞を楽しんでいる。
井草さんは「天候によって見られないこともあり、こんなに鮮やかに見えたのは3回目。燃えるような輝きに感動しました」と話していた。(吉田敦史)