広島原爆の写真、世界の記憶候補 ユネスコ25年に登録審査

被爆から78年を迎えた原爆ドーム=8月6日、広島市の平和記念公園

 政府は28日、歴史的に重要な文書や絵画などを保護する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」の候補として、原爆投下後の広島の惨状を撮影した「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」の推薦を決めた。2021年に推薦されたが23年のユネスコ執行委員会で登録が見送られた徳川家康ゆかりの「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」も再推薦する。いずれも原爆投下から80年となる25年の委員会で登録可否が審査される見通し。原爆関連が登録されれば初めてとなる。

 写真と映像は米軍が原爆を投下した45年8月6日から同年末までの写真1532枚と動画2本。広島市と中国新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、中国放送、NHKが推薦を求めた。

 写真は爆心地近くで撮ったきのこ雲や負傷者、壊滅した市街地の様子を、市民や新聞社と同盟通信社(共同通信社などの前身)のカメラマン、陸軍船舶司令部写真班が撮影した。動画のうち1本はNHKが収蔵。もう1本は中国放送が取材や番組制作に活用し、現在は国立映画アーカイブで保存されている。

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