地上10メートルで踊る、命がけの獅子舞! 足場はわずか15センチ 豊明市で江戸時代から続く神事に密着

地上10メートルで堂々の演技を披露!

愛知県豊明市では「命がけの獅子舞」が行われているとのウワサが! 街の人に話を聞くと「命がけの獅子舞」が大脇地区の神社で披露されるとのことです。さっそく神社に向かいます。

大脇地区伝統の神事

地上10メートルの高さで演技

夜の神社で練習が行われていたのは、大脇地区伝統の神事「大脇の梯子獅子」。境内に設置された大きなやぐらのようなものの上で、獅子舞の練習が行われていました。

五穀豊穣を願い、地上10メートルでアクロバティックな獅子舞を披露するのが江戸時代から続く習わしです。垂直に立てられた51段の梯子を登った先にあるのは、直径わずか15センチの丸太2本で作られた足場。下にネットが張られているとはいえ、この足場の上で2人1組となって獅子舞を披露するとなればまさに命がけです。

20代から40代の一般男性が挑戦

若い世代の一般男性が「大脇の梯子獅子」に挑戦

梯子獅子を演じるのは大脇地区で暮らす20代から40代の一般男性たち。メンバーは仕事が終わってから集合し練習に励みます。

そんな「大脇の梯子獅子」に2023年初挑戦するのが豊明で生まれ育った遠山良さん。大工として働いているため、高所には慣れていると話します。細い丸太の足場の上で獅子舞のアクロバティックな動きを見せる必要がある梯子獅子はやはり怖さが先に立つと話します。

パートナーを肩にのせて梯子の頂上まで上る

ハプニング発生

遠山さんは低い位置にある梯子舞台で練習を積んだあと、境内の梯子舞台で初めての練習に挑みます。

胴体役の東山さんに立ちはだかる最初の難関は、無事に梯子の頂上まで登り切ること。胴体役はパートナーを肩車して頂上へと上る必要があるので、体力と集中力の両方が求められます。

パートナーを肩にのせて初めて梯子との頂上へと向かう遠山さん。しかし、獅子幕をつけて視界が遮られたこともあり、途中で一度足を踏み外してしまいます。居合わせた全員がヒヤリとしたものもすぐに体勢をたて直し、無事に頂上の足場までとたどり着きました。

演技「藤さがり」を練習

梯子の頂上で「藤さがり」と呼ばれる演技を練習します。足場に足の甲をひっかけて体を反らせ、稲穂が垂れている様子を表現。大脇の梯子獅子では、不安定な細い足場の上でも観客に伝わるよう大きな演技が求められます。

狭い視界と体にまとわりつく獅子幕に動きを制限されてしまい、思うように動けない遠山さん。経験者であるパートナーと比べると差は歴然です。

本番の演技は果たして!

細い足場の上で獅子舞を演じる

そして迎えた本番当日。風速6メートルの強風にあおられて、やぐらがゆらゆらと揺れる最悪のコンディションです。東山さんがパートナーを肩に載せて梯子を上がっていきます。

家族が見守る中、細い足場の上で獅子舞を演じる遠山さん。一番の見せ場となる「藤かぶり」でも体を反らし、無事に演技を終えることができました。

来年はやってみたい、と話す息子さん

無事に地上へと降りてきた遠山さんに、地上で見守っていた家族が花束を贈呈。これまでは梯子獅子に興味を持っていなかったという息子さんも、父の雄姿を目の当たりにして「来年はやってみたい」と心が動いたようです。2024年は遠山親子による梯子獅子が見られるかもしれません。

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