呉服の亀半、120年の歴史に幕へ 着物離れやコロナ禍で決断

反物を広げ、来店客との会話を楽しむ佐藤喜一さん(左)と妻朱美さん。約120年続く亀半呉服店が惜しまれながら閉店する=盛岡市肴町

 盛岡市肴町の亀半呉服店が年内に閉店する。着物の取り扱いにとどまらず、神楽といった伝統衣装の再生に貢献してきた。石川啄木とも縁がある創業約120年の老舗だが、呉服離れにあらがえず、新型コロナウイルス禍も痛手に。社長の佐藤喜一さん(69)は「できることなら、もっと続けたかった」と苦渋の決断をした。親子4代がつないだ「呉服の亀半」は、惜しまれながら歴史に幕を下ろす。

 色鮮やかな着物に火鉢や帳簿…。商売道具が並ぶ店内を見渡し「入りやすい店作りを心がけた」と語る佐藤さん。妻の朱美さん(67)と、柔和な表情で来店客を迎え反物を広げた。

 佐藤さんの曽祖父、半二郎さん(故人)が質屋「亀庄(かめしょう)」に婿入りし、1905(明治38)年に亀半呉服店として創業した。最盛期は約30人の従業員が営業を支え、木造2階建ての店舗2階に住み働いた家族もいた。

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