金品受領報告書の不開示訴訟、福井県上告せず 「判決受け入れる」今後は公開範囲に注目

福井県庁=福井市大手3丁目

 関西電力役員らに多額の金品を渡していた福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)が、福井県職員にも金品を贈っていた問題の調査報告書を巡り、市民オンブズマン福井が県に不開示取り消しを求めた訴訟で、県は11月28日、上告しない方針を明らかにした。県議会全員協議会で県の服部和恵総務部長が「判決を受け入れる」と述べた。県が調査対象者の回答内容をどこまで開示するかが注目される。

 今月15日の名古屋高裁金沢支部の控訴審判決では「調査対象者の回答内容を一律に非公開としたのは違法」として、一審福井地裁判決を支持し、県側の控訴を棄却した。一方で、回答内容が個人情報に該当し非公開とする部分があるのかどうか改めて検討すべきだとし、原告側の請求を全面的に認めた一審から一部後退する判断となっていた。上告の期限は29日。

⇒第二審も福井県が敗訴…調査報告書の回答内容、一律非公開は「違法」

 28日開かれた県議会全員協議会で服部部長は「これまで今後の対応を検討してきたが、上告を行わず、判決を受け入れる」と述べた。今後について「県としては判決を真摯に受け止め、公開、非公開の範囲を再検討していく」とした。

 市民オンブズマン福井の伊東晴美さんは、上告しないという県の方針にも「まだ喜べる段階ではない」と受け止め、「県がどの程度情報を開示してくるのかが問題で、内容次第では改めて提訴する必要がある。公文書は原則公開だ」と重ねて強調した。

 判決などによると、同オンブズのメンバーが県情報公開条例に基づき、報告書の基礎・根拠となった資料一式の開示を請求したが、県は一部を不開示とした。メンバーは取り消しを求めて提訴。昨年9月の一審判決では、県が不開示とした調査対象者の回答内容について「公務の公正に強く関わる情報だ」とし、開示しても「公務員らの権利利益を不当に害する恐れはない」と同オンブズの請求を全面的に認めていた。

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