ウォーハンマー40,000の自由開拓者をテーマにしたゲーム「Warhammer 40,000: Rogue Trader」のハンズオンイベントをレポート!

2023年12月8日に発売を予定しているPS5/Xbox Series X|S/PC用ソフト「Warhammer 40,000: Rogue Trader」(以下、「ローグ・トレーダー)のハンズオンイベントが、東京・秋葉原にあるWarhammer Cafe&Store Tokyoで行われた。その様子をお届けする。

「ローグ・トレーダー」は、世界的に有名なミニチュアゲーム「ウォーハンマー40,000」の世界観を用いたRPG。ミニチュアゲームというのは、兵士や戦車、モンスターなどのキャラクターミニチュアを駒として遊ぶ卓上ゲームだ。

一般的にイメージされるボードゲームと違うのは、ボードにマス目がなく、メジャーを使って距離を測ること。そして駒のひとつひとつにキャラクター性やゲームとしてのステータスなどが設定されていることだろう(※もちろん例外はあるものの、ここでは全体的な傾向を述べるに留めておく)。

そのなかでも「ウォーハンマー」シリーズはもっとも有名と言っても過言ではないビッグタイトルで、筆者もかなり昔からこの世界にどっぷりとハマり続けている。ここ数年は日本での展開にも力を入れている印象で、ファンの数も右肩上がりに増えてきている印象だ。

ちなみにウォーハンマーには、本作が世界観を使用しているSFシリーズの「ウォーハンマー40,000(WH40k)」と、神話ファンタジーをイメージした「ウォーハンマー:エイジ・オヴ・シグマー(WHAoS)」の2つの世界戦が存在する。

今回のハンズオンの会場となったWarhammer Cafe&Store Tokyoは、その名の通りウォーハンマーを専門に扱う直営店であり、国内最大級の広さを持つ。

店内は広々としており、丁寧に彩色されたミニチュアたちがショウケースに陳列されている。これらのミニチュアはもちろんゲームの駒として使用できるものだが、ゲームだけでなくペイントを追求している人や、ジオラマを作る人など、このホビーへの関わり方は人さまざまだ。

そしてWarhammer Cafe&Store Tokyoでは、通常の直営店とは異なり、カフェ……つまり飲食店としての機能も備わっている。

店内には飲食スペースもあり、ドリンクや軽食を楽しみながらファン同士の交流を楽しめるほか、店内の巨大スクリーンでは終始ウォーハンマー関連の映像が流れている。残念ながら日本語化されている作品は少ないが、海外では多くのアニメーション作品が展開されており、その魅力の一端を感じることが可能だ。

イベントに参加したメディアはドリンクが1杯無料だったため、「究極浄化ラテ」を注文。ドリンク名にもウォーハンマー世界の用語が反映されていて、ファンはニヤリとしてしまう。

イベント当日は本作のプロモーションビデオが流されており、通常の買い物に訪れた客の興味を引いていた。なお今回のハンズオンは一般客にも開放されていたため、熱心なウォーハンマーファンたちも遊びに訪れていたようだ。

と、ここまででウォーハンマーというシリーズの基礎知識を入れたところで、今回のメインとなる「ローグ・トレーダー」の感触を述べていこう。

なお今回プレイしたのはPC日本語版だが、ローカライズはまだ完成ではないとのことなので、その点はご留意いただきたい。また、機材のトラブルで一部の写真がスマートフォンによる直撮りになってしまっている。

■TRPGライクなプレイ感!技能判定や選択肢によって、その後の展開が変化する……!?

まずは本作のストーリーラインについてざっくりと説明しよう。

WH40kの世界において人類はすべて<帝国>(インペリウム)というひとつの国家に統一されている。しかし宇宙は広大で、人類の支配が及ぶ地域にも限りがある。支配圏の外を見れば、さまざまな異種族(宇宙オークや宇宙エルフ、宇宙スケルトンなどたくさんいる!)がはびこっており、人類がいまだ調査できていない場所も多い。

そんな未開の地である宇宙辺境部を冒険する自由開拓者たちが、本作のタイトルにもなっているローグ・トレーダーという存在だ。

彼らは<帝国>より正式にライセンスを発行されている探検家兼使者のような者たちであり、<帝国>の領土を拡大するためにあらゆる自由裁量権を与えられている。それゆえ自らの判断で物事を進めることが可能なのだ。

舞台となるのは、コロナス・エクスパンスと呼ばれる危険で名高い辺境領域。主人公は、有力なローグ・トレーダーの一派であるフォン・ヴァランシウス王朝の一員であり、冒頭の事件によって指導者の地位を引き継ぐことになる。プレイヤーは、自らの裁量でこの先振りかかるさまざまな難関を処理していかねばならない。

物語は、主人公を含む多くの人員が同乗している巨大な宇宙船の艦内で始まるのだが、突如として裏切りが発生。瞬く間に艦内は敵味方が入り乱れる混乱状態に陥ってしまう。

じつはWH40k世界の人類は一枚岩ではなく、人類の救世主である<皇帝>を頂点に据えた<帝国>と、その<帝国>から離反し渾沌の神々を信奉する反逆者とに大別される。今回の事件は、どうやら一部の人員が渾沌信仰に堕ち、渾沌信者を招き入れたようだ。

余談だが、<皇帝>は一万年以上前に起きた巨大な内乱によって致命傷を負い、現在は<黄金の玉座>と呼ばれる生命維持装置によって生かされている、生きた躯のような状態になり果てている。そんな<皇帝>を半ば神格化させて<帝国>の人民を結束させる基盤としているという、なんともブラックな世界設定だが、こういったダークな要素もまたウォーハンマーの魅力だろう。

ゲームとしては見下ろし型のオーソドックスなRPGといった印象。操作も左クリックで移動場所の指定、右クリック&マウスで視点の移動というように、この手のゲームに慣れている人であれば問題なく操作できる。

驚いた……というかある程度予想はできていたのだが、注目すべきは会話の密度。序盤ではNPCとの会話にしたがって次に行く場所を指定されるのだが、毎回会話内容が濃い。改めてWH40kには専門用語が多いのだなと感じた。

ファンにとっては嬉しい要素ではあるのだが、まったく事前知識がない人が見ると、「ウッ」と身構えてしまうかもしれない。それくらいの濃度だ。

しかし幸いなのは、かなり丁寧な用語集が用意されていること。文章中に太字で書いてあるものは、マウスオーバーで簡単な解説がポップアップされる。いちいちクリックして用語集に飛び、また戻ってくるという手順を踏まなくていいのは、かなりストレスフリーだった。もちろん、クリックして用語集に飛んで、詳しい解説やほかの単語の意味を閲覧することもできる。

ウォーハンマーのゲームは数多く発売されているが、用語集にここまで力が入った作品はなかなかないのではなかろうか……。日本のWH40kファンは用語集のために買ってもいい。

一方でクエストの誘導は、ある程度会話から目的を推測しなければならないクラシカルなもの。昨今のゲームのようにクエストマーカーで一から十まで示してくれるようなものではないため、会話から目的地の目星をつける肯定が苦手な人は、やや戸惑うだろう。

実際に筆者の周りでプレイしていた他のプレイヤーも行き先に困っていたようで、進む先をスタッフに聞いていた。

また会話では選択肢が表示される場合も。単純にもっと詳しい情報を聞き出せるものもあれば、技能判定が必要なもの、返答によってアライメント(属性)が変化するものなども存在した。

今回体験できたシーンでは、<皇帝>への信仰に生きるか、任務達成のための現実的な道を進むか、人道的な手段を優先するかを選ぶもの。仲間になるキャラクターによって支持する方法が違い、こういった返答の積み重ねによって不和などが生じるのかは不明だが、この綱渡り的な選択を強いられるのもまたウォーハンマーらしいなと感じる。

筆者は熱心な<帝国>信奉者としてプレイしていたので、「神帝陛下の加護あれ!」と炎の中を突き進んだら、部下の一般兵たちが焼死した。神帝陛下への信仰心が足りなかったのかな?

技能判定はもちろん探索中にも発生する。例えばドアをロックしているセキュリティを解除するために“技術使用”の技能で判定するなど、TRPGライクな要素も多い。

技能の種類も豊富で、これにより探索や交渉の成否が変わってくると思うとキャラクター育成にも熱が入る。当然ながらこれらのステータスはレベルアップにより向上させることが可能だ。

今回の範囲で仲間になった仲間は、元帝国宇宙軍のアベラルド、サイカー(いわゆる超能力者)のイディラ、修道聖女会(アデプタ・ソロリタス)のシスター・アルジェンタの3人だが、もっと数多くのキャラクターが仲間になる。

なかには<帝国>が要する改造人間の部隊(スペースマリーンの名で知られている)のひとつ、スペースウルフ戦団に属する者や、アエルダリ(宇宙エルフ)やデュカーリ(宇宙ダークエルフ)のキャラクターも。

仲間になるキャラクターたちはそれぞれ得意分野が異なっているため、どのような構成でパーティを組むかも、ゲームに大きく影響しそうだ。

■戦闘は誤射の可能性もアリ!射線に気を配りつつ戦術を熟考するターン制バトルが魅力

本作の戦闘はターン制SLG形式。移動力とアクションポイントを消費して、ターン中の行動を行い、行動順にすべてのキャラクターが行動したら1ラウンドが終了する。

各キャラクターは、装備品に応じた通常攻撃のほかに固有のアビリティを持っており、アクションポイントの範囲内で行動の配分を決定していくことになる。

印象的だったのは、フレンドリーファイア……いわゆる誤射の要素があること。主に射撃武器で発生するのだが、本作の射撃武器には単発射撃と連続射撃が存在する。この連続射撃で誤射の可能性が発生するのだ。

連続射撃の特徴として、範囲内の敵を複数同時に攻撃できるということがあげられる。この範囲内に味方がいると、フレンドリーファイアが発生してしまう仕組みだ。

とはいえ攻撃の予測範囲は赤くハイライトされるため、事前の確認は容易。間違って撃ってしまうことは基本的にはないだろう。また、単発射撃であれば狙った対象1体のみに攻撃ができるため、敵味方が入り乱れている場合は単発射撃を使うのも手だ。

しかし1回のアクションで複数の敵にダメージを与えられるのは魅力でもある。状況によっては味方を巻き込んででも連続射撃を行ったほうがいいこともある。

というのも、本作の戦闘の難易度はなかなか高めに設定されており、基本的に敵のほうが数が多い。各陣営の攻撃回数がそのまま戦力差として現れることになるため、可能な限り早く敵の頭数を減らしたいのだ。

「難易度設定もあるため、難しかったら難易度を下げてください」というアドバイスも頂いた。裏を返せば、そのようなアドバイスがスムーズに出るほどの難易度で作られているということだろう。

射撃に関する要素として、カバーシステムにも触れておこう。柱や障害物にカバーマークが出ている場所に隣接すると“カバー”効果を得られ、遮蔽によって敵からの射撃を防ぎやすくなる。射撃で戦うキャラクターは、カバー可能な場所に陣取ることで、撃ち合いでも有利に戦えていた。

近接武器による攻撃は射撃武器と少し仕様が異なり、攻撃側の命中判定は必要ない(射撃は攻撃側が命中判定を行っている)。相手が回避か受け流しに成功するかで命中が判定されるようだ。そのせいか、射撃よりも近接攻撃のほうが命中率は高く感じた。

ただし当然ながら近接戦闘中は敵に接敵しているため、味方誤射を受けやすい。敵も同条件なので、これを敵の射撃を受けにくくなると捉えるか、味方の射撃の援護がしにくくなると捉えるかは状況しだいになりそうだ。

ちなみに、WH40kにおいて接近戦は基本的な戦闘スタイルだ。射撃飛び交う戦場で、剣やらハンマーやらを振り上げて突進していく姿というのは、なかなかほかの作品では見ない後継ではないだろうか。未来の世界を描いているはずなのに、ビジュアルや戦い方は中世の泥臭いそれだというのがまた魅力的なのだ。

なおサイカーであるイディラはサイキックによる攻撃を行えた。付近の敵にも連鎖する電撃がとにかく強力で、敵がまとまっていがちな戦闘序盤において、絶大なる力を発揮。ただし当然というべきか打たれ弱く、立ち位置に気を遣わねばならないなど、キャラクターごとに得意な戦術がはっきり分かれている印象を受ける。

体験できたステージの最後には、ボスとしてケイオス・スポーンが登場。渾沌の神々の力を受けたことで過剰に変異してしまった人間であり、もはや姿は怪物というほうが近い。

このケイオス・スポーンがまた強く、かなり苦戦を強いられた。遠くに酸を吐いてくるうえ、強力な連続近接攻撃をしてくるので、前衛が崩されてしまう。

なんとか前衛を回復して耐えさせつつ、ほかのキャラクターで射撃を加え続けることでなんとか撃破できたものの、あと1~2ターン遅かったらやられていたのはこちらだっただろう。

キャラクターが使えるアビリティには、“このターン強化を得る代わりに、次ターンにデバフがかかる”といったものがあり、最後にこのアビリティを使うことに踏み切った判断が良かったかもしれない。

戦闘での配置やアビリティの使いどころをしっかりと考える必要がある戦闘は、戦術が重要なゲームでは魅力だともいえる。

本作のプレイ時間は約2時間ほどだったが、その短時間でも十分に濃厚なプレイを楽しめた。何より、WH40kの世界観を味わえる作品としてはかなり優れており、ミニチュアゲームではあまり触れられない(とくに日本語環境では)ローグ・トレーダーの在り方が描かれるのは非常に貴重。

ウォーハンマーファンは当然買って損はないし、TRPGライクなゲームを求めている方にもぜひ手に取ってほしい作品だ。

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