違法風俗街「旧かんなみ新地」1月に解体着手 警告受け21年一斉閉店 土地と建物、全区画の8割取得 尼崎

尼崎市役所=尼崎市東七松町1

 兵庫県尼崎市は28日、非合法な風俗街だった通称「かんなみ新地」(神田南通3)の土地と建物について、同日時点で全区画の83%を取得し、2024年1月から五つあるブロックのうち1ブロックの解体工事に着手する方針を明らかにした。残りについても取得できた区画の一部を、起業を考えている人に店舗として暫定的に貸与する。

 旧かんなみ新地は、木造2階建ての長屋延べ約1350平方メートル。21年11月に風営法に基づく市と警察の警告を受け、一斉閉店した。市は一帯の土地建物を取得して更地にした上で売却する方針を決め、22年度補正予算に事業費1億9400万円を計上した。

 買い取り交渉は22年6月から始まり、地権者23人の約78%にあたる18人から土地と建物を買い取り、5ブロック37区画のうち31区画を取得した。市はこのうち区画取得が完了した1ブロック(約100平方メートル)を解体し、広場や駐車場として活用する。相続人の調査に時間を要する区画を含むブロックと2階部分でつながっているブロックについて、道路に面した8区画を、24年6月から25年12月まで賃料無料で貸し出すという。

 市は事業費約200万円を含む一般会計補正予算案を12月5日に始まる市議会定例会に提出する。取得済みの区画では転居先が決まるまで営業を続けている店舗もあるが、12月末で退去する見込み。松本真市長は「まちのイメージを変えるような事業者に入店してもらい、子どもたちが楽しみながら歩けるような場所にしたい」とした。(広畑千春、中川 恵)

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