“市民プール”5→2に 新設・改造後の利用料、3~4倍に値上げも検討 さいたま市が「あり方方針」公表

本年度で廃止すること決まっている沼影市民プール=8月31日、埼玉県さいたま市南区沼影

 埼玉県さいたま市は27日、「市レジャープールのあり方方針」を公表した。地域バランスと財政負担軽減を考慮し、市内の5施設を北部と南部の2施設に段階的に集約・再編する方針を示した。維持費や少子化による収入減での財政負担が大きいことを理由として、新設やリニューアル後に利用料の値上げも検討している。

 市は5月、方針案を示した。パブリックコメントには「プールをなくさないでほしい」「子育ての観点からレジャープールは重要」など反対意見を含め、710人から905件の意見が寄せられていた。

 方針や市都市公園課によると、北部エリアは大和田公園プールに集約する。南部エリアは義務教育学校の整備に伴って廃止予定の沼影市民プールの代替の新設を優先する。代替地が決まった場合、原山市民プールは親水機能を有した公園に再整備。代替地が決まらない場合、原山をリニューアルする方針。東部エリアでは、越谷市境の県営しらこばと水上公園の利用を促す。

 5施設は1970~80年代にかけて整備された。築60年の耐用年数までは現在の施設を使用し、耐用年数到達後に更新または解体を行う。三橋プールは親水機能を有した公園などに再整備。下落合プール(屋外)は中央区役所の再編に合わせて解体予定だが、時期は未定としている。

 市は市議会12月定例会に提出する補正予算案に、沼影の代替地の調査費用として2695万円を計上した。原山は利用者数が少なく、駐車場が少ないことや拡張のための用地確保が難しいという。沼影の代替地が見つからず、原山の工事が不可能になると、大和田のみの運用となる可能性もあるとしている。

 2017~21年の5施設の収支はコロナ禍を含め、平均して年間約3億6500万円の支出超過だった。今後は人口減少や少子化による収入減も見込まれ、財政負担軽減のため、施設の新設・リニューアルの際には利用料の値上げを検討している。試算では、大和田、原山、沼影は440円から1160円、下落合は320円から1040円、三橋は230円から950円の値上げを検討。子ども料金は大人の半額を想定している。

 一方、市民団体「原山市民プールの存続を求める会」は今月22日、存続を求める要望署名を市に提出。署名数が計7538筆に上ったとして、方針案の撤回、利用料の大幅な引き上げの中止を求めた。

レジャープールの将来イメージ(埼玉県さいたま市提供)

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