岩手県産小麦「カビ毒」検出 2022年産、全農県本部が販売

岩手県産ナンブコムギを使用した南部せんべいの廃棄作業に追われる老舗白沢せんべい店の従業員=28日、盛岡市紺屋町

 全農岩手県本部(高橋司本部長)は28日、製粉会社に販売した2022年産の県産小麦「ナンブコムギ」から、嘔吐(おうと)などを引き起こす恐れのある「カビ毒」が検出されたと発表した。健康被害は確認されていない。この小麦を原料に使う県内の老舗菓子店は臨時休業し、商品を廃棄処分するなどの影響が出ている。

 南部せんべいを製造販売する盛岡市紺屋町の老舗白沢せんべい店(白沢一美津社長)では同日、従業員らが商品の廃棄作業に追われた。取り扱う18種類のうち、冷麺せんべいを除く17種類のせんべいに該当の小麦を使用していた。対象商品は全て処分し、料金着払いで商品回収も呼びかける。県内の製粉会社から27日に連絡を受け、同日昼から臨時休業している。

 1936(昭和11)年創業の老舗は県内外の観光客にも親しまれ、白沢紅子専務は「初めてで驚いている。安全が確認された新しい粉が届き次第、営業を再開したいが、3人で製造しており年内に再開できるか分からない」と吐露する。

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