WEC、2025年は参戦枠を40台に拡大へ。シリーズCEOが見解「間違いなく実現させるつもり」

 シリーズのCEOであるフレデリック・ルキアンによると、WEC世界耐久選手権は2025年にフルシーズングリッドを少なくとも40台まで拡張される予定だという。彼は、LMGT3チームが特定の定員イベントでガレージスペースを共有する可能性について現在、実現可能性の調査が進行中だと述べた。

 今週月曜日に発表された来季2024年のフルシーズンエントリーリストは、イモラとサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)のガレージ数の関係で37台に制限されている。ルキアンは、2025年にアストンマーティン・ヴァルキリー・ハイパーカーとランボルギーニSC63の2台目が登場する可能性があるため、将来に向けてグリッドの拡大が検討されていると語った。

 同じようなコンセプトが来シーズンのLMGT3チームにも持ちかけられたが、給油装置を各チーム2台のクルマで共有する必要があり、レース戦略が損なわれるなどの理由から最終的には見送られている。

「オフィスでのこだわりのようなものだと言える」とルキアンはグリッドスペースの拡張について語った。「適切なバランスを見つけるのは本当に難しい」

「もちろん、私たちはすべての人々を受け入れる能力はない。この場合2025年には44台、もしくは45台の枠を用意することができるが、現在はすべてのチームと協議中だ」

「とくにGTでは2025年にいくつかのガレージを共有することで、グリッドを40台まで増やす可能性がある」

「2025年に40台を受け入れる。もちろん、これは我々が望んでいる方向性だが、考慮すべきパラメーターはたくさんある。それでも、私たちは間違いなく実現させるつもりだ」

 チャンピオンシップが収容できる最大台数について質問されたルキアンは、ル・マン24時間レースでの制限を指摘した。ル・マンでは最大62台がエントリーが保証されているが、このうち最低15台のLMP2マシンを考慮する必要がある。

「WECに参加するとル・マンはWECのラウンドのひとつであるため、もちろん自動的にル・マンの出場資格を得ることになる」と彼は述べた。

「ル・マンでは62台分のスペースがあるため、これにも注目しなければならない」

アストンマーティンは10月4日、アメリカのハート・オブ・レーシングチームと提携し『ヴァルキリー』で2025年のWECとIMSAに参戦する計画を発表した。

■一定の条件下で追加エントリーの可能性を残す

 WECのボスは、ル・マン24時間レース以外のシリーズ戦にLMGT3が追加参戦する可能性を否定しているが、スペースに余裕があるイベントでは“レース・バイ・レース”で、チームが選手権に追加エントリーする可能性は依然として開かれている。

「ガレージがあればあるほど、レースごとのエントリーの可能性も出てくる」とルキアンはSportscar365に語った。

「しかし、妥協はしたくない。(基本的には)追加エントリーは難しいだろう。シーズン中にひとつか、ふたつくらいはできるかもしれないが、どの場所でそれが可能であるかを今すぐに伝えるのはとても難しい」

「もちろん、カタールにはイモラよりもスペースがあるが、ピットレーンの安全性にも注意を払う必要がある。これは私たちにとって非常に重要なことだ」

 この話題に関連し、ルキアンはWECのフルシーズンでホモロゲートされたクルマを所有するチームのみが対象となることを明らかにした。

 これによりエントリー申請が退けられたヴァンウォール・レーシングチームや、アウディR8 LMS GT3エボIIやメルセデスAMG GT3エボを所有するカスタマーチームからのワンオフ参加は認められていないことが明確になった。これらのチームはすべて、2024年のWEC選考委員会に承認されなかった。

「LMGT3はACOフランス西部自動車クラブとFIA国際自動車連盟によってホモロゲーションされなければならない」と語ったルキアン。

「だから、WECとELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参加するブランドだけがル・マンに参加できる。他のブランドは参加できないんだ」

「しかし(WECの)LMGT3グリッドは非常にバランスが取れている。そのためレースごとにもう1台のGT3が出てくる可能性はないと思う」

「ただし、ハイパーカーでは可能かもしれない」

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