「高岡発ニッポン再興」 その115 全事業800の徹底分析で見えたこと

出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・令和4年度の決算について、決算特別委員会が開かれた。

・大分市は、決算の審議に加え、事務事業評価を導入。

・大分市は開かれた行政を実現する為いろいろな挑戦をしている。

先日、令和4年度の決算について、決算特別委員会が開かれました。令和4年度といえば、去年4月から、今年の3月までなのですが、決算書で、予算に計上された数多くの事業が実際どう使われたのかがわかるのです。もっと注目すべきだと思います。

決算書に関しては、高岡市当局が9月、議員に提出。私たち議員は11月の決算特別委員会で議論しました。会派「高岡愛」は10月、決算書を見ながら、事前に勉強しました。「高岡愛」といっても、メンバーは熊木義城市議と私だけなのですが、県議に転出した嶋川武秀さんにも、アドバイスをもらいました。決算書には、1つ1つの事業に関して、予算額が明記されていないのですが、我々は、予算額と決算額が大きく違っている事業に注目すべきだとの結論に至りました。

そして、11月の決算特別員会が近づくと、もう一度勉強会を開きました。そこで熊木義城市議は驚くべき作業を行いました。高岡市の800ほどの事業について、事業ごとに予算額と決算額が一目でわかる表をつくったのです。執行率もすぐわかります。高岡市の財政当局もやっていない作業です。私は28歳の熊木市議の努力に改めて敬服しました。まさに「政局より政策」を体現していますね。

この表をみると、いろいろな疑問が湧いてきました。例えば、高陵中学校区小中一貫整備事業。4年度の予算書では、4000万円計上されていました。アスベスト調査や実施設計を行うためとしていました。しかし、実際の決算では、32万円。執行率はわずか0・8%だったのです。それだけのお金で、実施設計はできません。実施設計は1年ほどかかるので、令和8年4月の開校が遅れるのではないかと、私たちは懸念しました。

そこで決算特別委員会で質問しました。当局はこんな答弁をしました。32万円はアスベスト調査であり、実施設計については、4年度の支払い請求がなかったためと説明。実施設計は今年9月末に終わっていて、今後支払うとのことでした。開校は予定通りとなります。

不妊治療費助成事業。少子化対策の目玉として、4年度には4100万円の予算がつきました。蓋を開けると、決算では850万円でした。不妊治療が保険適用となったことなどが要因でした。ほかにもいろいろありましたが、当局の方は丁寧に答弁なさいました。ありがとうございます。

繰り返しになりますが、高岡市では前年度の決算について、11月の決算特別委員会で審議され、12月定例会で認定されます。しかし、全国を見渡すと、こうしたスケジュールを前倒しする自治体が出ています。早めに決算特別委員会で、審議し、来年度の予算に反映させるためです。熊木議員と私が受けた研修によりますと、大分市では、決算特別委員会がどんどん前倒しになり、さらに委員会の議論そのものが進化しました。平成17年度までは、9月議会が終わった後、決算特別委員会を5-7回開催。12月定例会開催日に委員長報告し、採決されました。これは今の高岡市と同じですね。

しかし、22年度からは、9月定例会では、決算特別員会を5分科会に分けたうえで、9月定例会の閉会日に委員長報告したのです。さらに、決算の審議に加え、事務事業評価を導入したのです。例えば、また、一つ一つの事業、いくらのお金で、どんな成果があがったのか。それを市当局が説明するやり方になったのです。政治家、つまり議員がその政策の成果を検証する場になったののです。事業名、予算額、決算額という数字羅列のお決まりのパターンではわかりにくいので、事業別にしたといいます。

大分市は開かれた行政を実現するためいろいろな挑戦をしていますね。高岡市でもまだまだ改善の余地はありそうです。私は、市議会議員として、熊木市議と一緒に一層、精進します。

トップ写真:決算の勉強会、熊木議員が講師)筆者提供

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