「足の踏み場のないぐらい広がっていた」 サンゴの森再生へ住民や漁業者らが一体 沖縄・与那城町

「ひび建て式」と呼ばれる方法で養殖されるサンゴ。植え付けの体験をする一般のダイバーら=3日、うるま市の宮城島沖合

[うちな~う](82)

 「平安座島の海は、足の踏み場のないぐらいにサンゴが広がっていた」。子どもの頃の思い出だ。そう話すのは、うるま市の与那城町漁協組合長の玉榮將幸さん(68)。ダイビングショップを開いて約40年なる。今でも海の変化を見続けている。

 かつての「サンゴの森」を取り戻そうと同漁協は、10月からサンゴの養殖に乗り出した。2年前から準備を進め9月に県の許可が下りた。恩納村漁協の事例を参考に本年度は400本の苗を植え付けた。個体ごとに成長度のモニタリングを行っている。

定着し始め成長したサンゴの苗

 3日には、キックオフイベントとして「サンゴはぐんちゃ~」を開催。地域住民らを対象にしたサンゴの勉強会や一般ダイバーによる植え付け体験などの催しに延べ82人が参加。改めて平安座島の豊かな海を実感した。

 植え付け体験に参加した木本雅信さん(67)と圭子さん(63)=大宜味村=は「成長が楽しみだ。また潜る楽しみができた」と達成感に満ちていた。

苗床で群れるクマノミ。サンゴが大きく成長すると魚たちの楽園になるだろう

 「地域の人たちに関心を持ってもらうことが大切だ。それが海の保全につながる」と玉榮組合長はイベントの意義を強調する。

 平安座島周辺など東海岸にはまだ豊かな海が残っているが、開発や温暖化などの危機に直面している。

 地域住民や漁業者、ダイバーらが一体になった「サンゴの森」再生への試みは、始まったばかりだ。(写真部・伊禮健)

手作業で固定し植え付けられるサンゴの苗。個体ごとに番号が振られている
楽しくサンゴについて学ぶ地域住民やダイバーら=平安座漁港
兄弟で魚さばき体験に参加した仲地寿之介さん(左)。初めは怖かったけど上手にできたと得意げだった

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