広島の地酒を友好都市・中国四川省へ! 巨大市場に商機を求めて 元銀行マン・県職員の挑戦に密着!

広島の地酒を中国へ!元銀行マン・県職員の挑戦

ここ数年、コロナ禍などで、広島の企業の海外進出に陰りが見られます。そんな流れに抗う新たな試みとして取材したのは、「三大酒処」広島の「日本酒」の新たな販路として、巨大市場・中国を目指し奮闘する、1人の県庁マンです。

友好都市・中国四川省に、広島の酒を!

中国の四川省が、広島県と友好提携を結んで、間もなく40年になります。10月、広島県産の日本酒商談会が、省都の成都で開かれました。

■坂根さんと重慶総領事WEB

「広島県の坂根です。広島県は四川省と友好提携を結んでいます。にもかかわらず、成都・重慶、四川省の方には、広島のお酒がほとんど入っていない状況なんです。」

総領事と共に、インターネットを介してメッセージを発信するのは、この催しを仕掛けた坂根広春さんです。広島県出身の坂根さんは、銀行に勤めたのち、11年前に県の職員に転職。現在は、県内企業の海外進出を支援する部署に所属します。そこで注目したのが、中華料理に合った日本酒を開発した東広島市の酒蔵「今田酒造本店」の取り組みでした。

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「これは、広島県が発案した事業じゃないかなと思うぐらい、すごく応援したい気持ちになった。」

広島県が、四川省と経済交流を目的とした友好提携を結んだのは、1984年9月でした。人口1200万の巨大都市・成都には、経済交流事務所を構え、交流は、一般や技術指導など多岐にわたります。

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「今回やってみて、どういう反応があるかによるけど、ニーズもあって、うまくいくようなことがあるのであれば、日本酒を四川省に出す取り組みを、どんどんしていきたい。」

酒蔵に協力を呼び掛ける

「日本酒の日」にあわせて広島市内で開かれた催しで、この日を含め、県内すべての酒蔵に、中国での商談会への協力を呼びかけました。そして、現地に向かう直前まで、中国人スタッフと準備のやり取りを重ねました。

商談会の前日、四川省・成都に坂根さんの姿がありました。

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「どこまで準備できているのか。えーっていうことにならなければいいが…」

会場準備でトラブルも…

今回の商談会には、現地の中国人スタッフの協力が欠かせません。その指揮を執る坂根さんに、展示用のテーブルが届いていないとの知らせが入ります。

■スタッフ

「テーブルなんですけど、レンタルしたので。もともと2時前に来る予定。1時間遅れ。」

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「中国あるあるですかね。洗礼を浴びてます。」

会場で映し出す酒蔵の紹介文にも、思わぬトラブル発生です。

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「文字化けしてる。」

中国語にうまく変換できず、肝心の文字が「□」で表記されたり、地名が間違っていました。

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「こっちで直せるなら、直したらいい。」

スタッフが手分けして、修正に取りかかります。

そして2時間遅れで、ようやくテーブルが到着。会場の準備が終わったのは、日が傾きかけた頃でした。

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「滞りなくというのもあるけど、それだと面白くないので、前向きに楽しんで進めていけたらと思う。」

大盛況の商談会に手応えを感じた

そして迎えた日本酒商談会。会場は、予想を上回る盛況振りです。広島の8つの酒蔵が出品。地元の飲食店や取引業者が、興味を示してくれています。

■参加者は…

「冷たくてスッキリしている。味わいも豊か。」

「広島は日本酒をたくさん造っている場所だと思わなかった。こういうイベントを多くやってくれると、自分の友達にもお勧めする。」

この日、国際交流を担当する四川省政府の高官が出席した会合を準備したのも、坂根さんです。そして、重慶にある日本総領事館の総領事とともに、広島を中国向けにアピールしました。

■重慶総領事館チャンネル

「来年は、四川省において広島年になるはずです。気合い入りまくってます。日本酒だけじゃないですよ。なんでもあります。広島に行こう。」

■日本国駐重慶総領事館 総領事 高田 真里さん

「広島のお酒を通じて、日本と中国の関係がもっと発展するように、そのお手伝いをしてもらえるように期待したい。」

この日訪れたのは、46社・70人。取り引きは700万円以上にのぼり、坂根さんも手応えを感じていました。

■広島県商工労働局 海外進出支援グループリーダー 坂根 広春さん

「酒蔵の皆さんと話をしながら、今回のイベントを作り上げたので、これは自分の仕事だとやりがいを感じたし、自分にしか出来ない仕事ができたと。すごくうれしくて、今日はおいしいお酒が飲めそうです。」

日本酒が繋ぐ広島と中国・四川省。地元・広島の産業を、世界の人々に知って欲しいと奔走する県庁マンの取り組みが、確実に成果をあげつつあります。中国での商談会は、広島県としては初めての開催でした。1日の取引額が700万円を超えるのは、相当大きな数字だったそうです。今後、日本酒以外の産品も含めた県内企業を後押ししていきたいとのことでした。

【テレビ派 2023年11月28日放送】

© 広島テレビ放送株式会社