「赤い涙」描き犠牲者追悼 原爆ドームで連帯呼びかけ

パレスチナ自治区ガザの犠牲者を追悼し、原爆ドーム前で「赤い涙」でいっぱいになった布を掲げる人たち=29日夕、広島市

 国連が定める「パレスチナ人民連帯国際デー」の29日、広島市の原爆ドーム前で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃の犠牲者追悼集会が開かれた。参加者が白い布に無数の赤い涙を描き、「今この瞬間も命が奪われている。パレスチナのために涙を」と連帯を呼びかけた。

 「シャーム・ムハンマド・サラー・アルサワールハ。まだ1歳にも満たない子供」。犠牲者の名前と年齢が次々と読み上げられる中、市民や外国人観光客らが足を止め、絵筆を手にした。2時間後、大きな布は赤い絵の具で描かれた「血の涙」でいっぱいになった。

 参加を呼びかけた看護師久保賞花さん(23)は「被爆者の祖母たちから戦争はいけないと言われて育った。微力でも、何もしないわけにいかない」と涙ながらに話した。

 ガザの犠牲者は1万5千人を超えるとされ、時間内に読み上げられたのは4千人だった。米国出身のマラカイ・ネルソンさん(28)は「名前を聞きながら、その人がどんな人生を送ったのか考えた。ガザで起きていることはひとごとではない」と語った。

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