暴力団事務所、市内全域で禁止 全国初 昨年9月以降ゼロの尼崎市が条例改正案

尼崎市役所=尼崎市東七松町1

 昨年9月に暴力団事務所がゼロになった兵庫県尼崎市で、工業地域などを含む市内全域で暴力団事務所の運営を禁止する暴力団排除条例改正案がまとまった。県条例と同程度の罰則を設ける方針で、市町村としては全国初という。12月18日から市民に意見を公募し、来年2月の市議会定例会への条例改正案提出を目指す。

 県の条例では、都市計画法上の「住居地域」「商業地域」「近隣商業地域」への暴力団事務所進出を禁止しているが「準工業、工業、工業専用地域」は対象外となっている。工都として発展してきた尼崎市は、準工業、工業、工業専用地域が市域の約3分の1を占めるため、事務所進出が懸念されていた。

 市は今年4月、市民、弁護士、警察関係者らによる「市暴力団排除活動推進会議」を設置。実効性の高い施策の検討を重ね、条例改正案をまとめた。

 案では、準工業、工業、工業専用地域を含む市内全域で事務所の運営を禁止する。違反した場合は中止命令を出し、罰則は県条例の「禁錮1年以下もしくは罰金50万円以下」にならう見通しという。

 同市内には以前、特定抗争指定暴力団の山口組と神戸山口組、指定暴力団絆会の対立3団体の関係施設が集中。2019年11月には神戸山口組幹部が自動小銃で殺害されるなど抗争事件が相次いだ。

 20年1月、市全域が「警戒区域」に指定され、住民の委託による事務所使用差し止め仮処分が申し立てられた。市も元事務所の組幹部宅の買い取りや訴訟費用の負担などで支援し、山口組分裂時に8カ所あった事務所は昨年9月以降ゼロの状態が続いている。

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