「早く幕内優勝争いを」 新十両・尊富士(青森県五所川原市出身)が意気込み

新十両昇進の記者会見で笑顔を見せる尊富士(左)と伊勢ケ浜親方=29日、福岡県太宰府市

 一つでも多く勝つ-。大相撲初場所での新十両昇進を決めた青森県五所川原市出身の尊富士=たけるふじ=(24)=本名石岡弥輝也、伊勢ケ浜部屋=は29日、宿舎のある福岡県太宰府市での会見で満面の笑みを浮かべた。取り口同様、初土俵から関取までわずか1年余で駆け抜けたスピード出世にも「早く幕内優勝を争いたい」と、十両は通過点だ-とばかりに前を見据えた。

 尊富士は昨年9月の初土俵後、7場所連続で勝ち越し。6勝1敗で終えた今月の九州場所では先場所まで十両だった白鷹山に不覚を取ったが、他は元十両ら実力派相手にも、立ち合い一気に土俵際へ攻め込み圧倒する相撲が光った。

 尊富士は「日頃師匠(伊勢ケ浜親方=元横綱旭富士、つがる市出身)から前に出る相撲を、と言われ、しっかり取れるようにイメージしたことが良い結果につながった」と語った。秋巡業中の稽古後も同部屋の横綱照ノ富士に誘われてトレーニングを続けたといい、「きつかったけど努力が一番だと分かった」と振り返る。

 ざんばら髪からようやく「まげデビュー」したばかり。会見では照れくさそうな表情が初々しい一方「関取衆にも勝ちたい意欲が強くなった。早く同じ土俵に立ちたい」と言葉の端々に大物ぶりをうかがわせた。

 9月の秋場所では入門後初めて連敗した一番の後、花道で悔しさから雄たけびを上げるなど負けん気は人一倍。同部屋で年下の熱海富士(21)の優勝争いに対し「悔しかった。早く自分も」と意気込み、「来場所に向けて頑張ることが楽しみ」とも語った。

 同郷の師匠がいる伊勢ケ浜部屋について「体の使い方など師匠に学び、ここでなかったら後悔していた」と言うまな弟子に、伊勢ケ浜親方は「小さい頃から知っており、(昇進は)良かった。入門した時から(十両に)上がると思っていた」と素質を認め、「立ち合い最初の当たりを強くし、自分の流れで相撲を取れるようにしたい」と注文を付けた。

 さらに「青森出身の力士は大関まで上がらないと県民が認めてくれない-と言う先輩力士もいるが」との辛口の質問には、「横綱でなければ駄目でしょう」と切り返して笑いを誘うと、尊富士は「やるしかない」と気を引き締めた。

 五所川原市出身の力士の十両昇進は2002年春場所の北勝岩(八角部屋)以来約22年ぶり。古里への思いについて「青森県出身の関取がまた1人増え、少しでも喜んでもらえるのでは。もっともっと応援されるように自分の押し相撲をしっかり磨きたい」と決意を口にした。

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