松山ケンイチさん(青森・むつ市出身)新ブランド 駆除のシカ皮活用、南部裂織など伝統工芸とコラボ

宮下知事(右)に南部裂織とコラボした自身のブランド商品を紹介した松山さん
松山さんが手がけるブランドと南部裂織のコラボ商品

 青森県むつ市出身の俳優松山ケンイチさんが、害獣として駆除されたシカの皮などを活用したアップサイクルブランド「momiji(モミジ)」を立ち上げ、南部裂織(さきおり)など伝統工芸とコラボレーションした商品を完成させた。29日、県庁に同郷の宮下宗一郎知事を訪ね、製品に込めた思いやこだわりを語った。

 目玉は、ひも状のシカ革を裂き織りの技法で織り上げ、マチにあしらった革製のバッグ。南部裂織保存会(十和田市)が制作に協力した。南部裂織の生地や織機の写真をプリントしたTシャツ、スエットなどもお披露目。南部裂織に加え、加賀蒔絵=まきえ=(石川県)や金彩(京都府)など全5種類の伝統工芸とコラボした。

 松山さんは都市と地方で2拠点生活を送る中で、廃棄される野生動物の皮を資源として活用できないか-と考え、不用品を加工し新しい製品に生まれ変わらせる「アップサイクル」に着目。昨年3月、妻で俳優の小雪さんと共にブランドを立ち上げた。

 松山さんは「皮をただ廃棄するのはコストもかかるしマイナスなことだと感じ、何とかプラスにできればと思った」と説明。「南部裂織は素材の組み合わせが自由で幅のある伝統工芸だが、皮が加わったことでさらに幅が広がった。僕自身もずっと裂き織りを続けていきたいし、バッグ以外の作品も生まれてくると思う」と話した。

 宮下知事は「地域の資源を活用してデザイン性のあるブランドを立ち上げてもらうのは、県民にとっても励みになる」と述べた。

 モミジの製品を集めた期間限定コレクションが、東京・銀座の和光本店で30日~12月13日、東急プラザ表参道原宿で同16日~来年1月31日に開かれる。購入もできる。

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