「あの夏を取り戻せ」 青森山田高OB、憧れの甲子園に 全国700人、2020年夏の大会再現

母校のユニホームに身を包み、阪神甲子園球場で堂々と入場行進する青森山田高OBの選手たち=29日

 新型コロナウイルスの影響で戦後初めて中止となった、2020年夏の全国高校野球大会を再現する「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」が29日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕した。同年夏の代替大会などで優勝した、全国45校(出場は42チーム)の出身球児約700人が集結。「青森県代表」の青森山田高のOB15人も聖地の土を踏みしめ、憧れの光景を目に焼き付けた。

 同日のみの貸し切りとなった甲子園では、全チームが順番にシートノックを実施。青森山田高OBの15人は練習が許された約5分間、笑顔を見せながら全身で土の感触を確かめた。ノッカーを引き受けた同高野球部の脇野浩平部長は「(出場のOBは)目標を失ってからも、必死に食いしばってきた世代。担任を務めたクラスの教え子もいたので、本当に感慨深いものがある」と目を細めた。

 開幕セレモニーでは、出場チームの選手がそれぞれ母校のユニホームなどに身を包み入場行進。爽やかな秋晴れの下、青森山田高OBたちも「緊張感」などを感じさせない特別な空気に包まれたグラウンドをぐるりと半周した。

 OBの工藤竹善さん(むつ市出身、千葉県・清和大3年)は「思っていたよりも観衆がいて、あらためて自分たちの世代の代表として選ばれたんだな-と実感できた」と笑みを浮かべた。

 大会は元球児らで構成する実行委員会が主催。球場の確保から資金集めまで、昨夏から準備を進めてきた。支援金を募ったクラウドファンディングでは、29日時点で約1400人から2700万円以上が集まった。

 30日、12月1日はそれぞれ兵庫県内の市営球場などで全チームの交流試合を1試合ずつ実施。青森山田高OBは、30日に高砂市野球場で宮崎日大OBチームと対戦する。

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