干し柿のれん、雪景色に映え 青森・南部町

50メートルを超える長さのハウスに柿をつるす作業をする大向さん(左)と小林さん

 青森県南部町鳥舌内地区名産の干し柿作りが今年も行われており29日、同地区にある大向光嘉さん方の作業場では、93歳を筆頭に地区住民ら10人ほどが皮むき作業に追われた。同日は朝から雪が降り、辺りはうっすら雪景色。干し柿は寒さが増すほどに甘みが凝縮されるといい、長さ50メートルを超えるハウスにずらりと並んだオレンジ色の“のれん”は壮観。今季のものは年明け1月下旬ごろからスーパーや産直施設に並ぶ予定という。

 同地区南側斜面で育つ小型の渋柿「妙丹柿(みょうたんがき)」には硬い種がなく干し柿に向く。今年は害虫などの影響が少なく、例年より3割増しの数の実がついたため実の生育が心配されたが、夏の暑さのおかげで干し柿に向いた、例年通りの大きさに育ったという。

 大向さん方では15日から干し柿作りに入り、ひもに柿をくくりつける作業は、昨年に続き八戸市の作業施設利用者が協力している。作業場に近いハウスでは大向さんと、6年ほど前から作業を手伝っている同市南郷の小林良次さん(77)が、30~40個の柿をつるした廉(れん)を車から下ろして一度スタンドにかけ、ハウス内にきれいに並べた。「良い干し柿は柔らかくしっとりしていて、色のきれいなもの」と大向さん。12月中旬まで作業を続け、今年も20万個ほどを作る予定。

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