青森県内2023年特殊詐欺、過去最悪90件 被害額3億2414万円

パソコン画面に表示された偽の警告文。ウイルスに感染したと誤信させ、サポート窓口の電話番号に誘導させる特殊詐欺の手口だ(県警提供)

 青森県警は29日、県内の女性2人が計約3500万円超をだまし取られる特殊詐欺被害があったことを明らかにした。県内で今年発生した特殊詐欺被害の認知件数は同日現在で90件(前年同期比59件増)となり、2011年の統計開始以降最悪となった。被害金額も約3億2414万円(同6384万円増)と、最多だった14年に次ぐワースト2位。県警は「詐欺の手口を知り、対策してほしい」と注意を呼びかけている。

 県警捜査2課によると、今年の被害のうち最多だったのは架空料金請求詐欺の50件。次いで金融商品詐欺の23件、還付金詐欺の7件と続く。被害額の内訳では金融商品詐欺が2億1677万円で全体の7割弱を占める。

 架空料金請求詐欺のうちパソコン画面に「ウイルスに感染した」と突然表示させ、修理費用を請求するPCサポート詐欺は14件だった。「NTTファイナンス」などNTT関連会社の社員を名乗るサイト未納料金請求も目立つ。

 金融商品詐欺は、外国為替証拠金取引(FX)や暗号資産など投資金名目で、入金後は利益が出ているかのようにアプリ上で誤信させ、さらなる送金を求められるケースが多い。

 同課の今井貴美次長は「特殊詐欺は、犯行グループが海外に拠点を置いたり、秘匿性の高い通信手段を用いたりしている」と摘発の難しさを語る。特殊詐欺被害はこれまで高齢者の割合が高かったが、交流サイト(SNS)の普及で働き世代の被害件数も増加しているという。送金方法は振り込みや宅配便のほか、電子マネーの利用が増えている。

 県警が29日に公表した特殊詐欺被害は2件。このうち県内に住む50代女性は、SNSで知り合った韓国人を名乗る男から暗号資産の取引を行うサイトやアプリを紹介され、もうけ話を信じて、9月11日から10月31日にかけて計31回にわたり計約3410万円を振り込んだ。

 また県内の40代女性は、SNSを通じて「副業で稼げる」とする広告にアクセス。「指定したアカウントに送金すれば報酬が得られる」「暗号資産を購入すれば利益が得られる」「手続きに間違いがあり、違約金が必要」などと言われ、今月23日から27日にかけて計8回にわたり計約123万円を送金、または振り込んだ。

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