滋賀県の国宝修理談合事件、工務店に賠償金4570万円支払い命令判決 契約額の2割

大津地裁

 琵琶湖の竹生島(滋賀県長浜市)に立つ宝厳寺(ほうごんじ)の国宝などを修理する滋賀県発注工事を巡る官製談合事件で、滋賀県が、工事を受注した工務店(同市)に賠償金約4570万円の支払いを求めた訴訟の判決が11月30日、大津地裁であった。脇田奈央裁判官は県の請求通り全額の支払いを命じた。

 判決によると、工務店は国宝「唐門」などの保存修理工事を2018、19年度に計2億2852万円で県と契約。契約には入札不正があった場合、賠償金として契約額の2割を県に支払うことが盛り込まれていた。

 同社の元社長は、県職員から工事の予定価格に近接した金額を聞き出した公契約関係競売入札妨害罪で起訴され、2020年11月に有罪判決が確定。県は契約に基づいて同社に賠償を求めたが応じず、2022年2月に提訴していた。

 同社は、工事は完成していて県に損害はなかったなどと主張していたが、脇田裁判官は「違反行為で有罪判決が確定した場合に賠償金を支払うことを定めた契約に拘束される。損害不存在の主張には理由がない」と判断した。

© 株式会社京都新聞社