困った…災害時の非常用飲み水なのに 「水神様」からも国の指針値の1・8倍のPFAS検出 浜松市

航空自衛隊浜松基地周辺の河川や地下水から、発がん性が疑われる有機フッ素化合物PFASが検出されている問題で、周辺の神社の湧き水からも高濃度の数値が検出されました。近隣にも驚きが広がっています。

梅田航平記者:「地元の人に美しい水として慕われるこちらからも、高濃度のPFASが検出されました。水は澄んでいることがわかりますが、地元自治会が注意を促しています」

問題の場所は、浜松基地からおよそ400メートルほどのところにある浜松市西区の水神社です。現在、飲用としては利用されていませんが、ここの湧き水は古くから「いぼとりに効く」と伝承され、「新・浜松の自然100選」
にも選出。地元に「水神様」として親しまれているこの水から、国の指針値の1・8倍のPFASが検出されたのです。

地元の人:「びっくりしました。今までは水神の水はきれいとのことで、日曜日とか夏休みになると、子どもが入っってすごくいい場所だったんですけど」

水道が整備される以前は、飲み水としても使われていたというこの湧き水。地域も50年以上前から「水神の森を守る会」を結成し、毎月清掃活動を行うなど地元一体となって守ってきました。

水神の森を守る会 生田さん:「湧き水を地域に親しんでもらいたいと思っていたけど、だんだん皆が敬遠するような形になって残念だと思っている」

市から連絡があった11月中旬以降、地元自治会は緊急で注意を促す看板を設置。「絶対飲んでは駄目」と強く訴えていますが、自治会としては湧き水を災害時の非常用の飲み水として使うことを想定していたため、ショックも大きいようです。

西山町自治会 袴田修康会長:「焦りましたね。ヤバイって、本当に思っちゃった。そこから看板作って、まず飲ませないこと、口に入れさせないこと、とにかく急務。早く緊急の際の水をどこから取るのというのを考えている」

原因を特定するため、浜松市は浜松基地に調査を要請していますが、いまだ特定に至っていないのが現状。

また、これまでの浜松市の調査では、この場所を含め、2つの川や水路の6地点、地下水の33地点で国の指針値をこえるPFASが検出されていて、その範囲は拡大傾向にあります。

浜松市 中野祐介市長:「(検出範囲が)広がってきているのが実態。周辺の事業所を含めて、これから調査もかける準備をしているところ」

浜松市は発生源の特定を進めるため、年明けにもPFASが検出された流域で、最大700の事業所を対象に調査を依頼するとしていて、PFASの使用履歴や水質調査を検討しています。

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