加害展示巡り議論の場を 長崎原爆資料館審議会 リニューアルの基本計画素案で意見交換

 長崎原爆資料館審議会(調漸会長ら20人)は30日、長崎市が提示したリニューアルの基本計画素案について意見を交わした。過去の日本による戦争加害の展示を巡り、現在の「南京大虐殺」の表記を維持または修正するよう求める意見が対立。ただ素案は大きな方向性を示すもので、具体的な展示内容は来年度の設計段階で決まる。委員からは今後の具体的議論にも関与したいとの意見が上がった。
 戦争加害に関係する「原爆投下に至る歴史」の展示について、素案では「加害と被害の両方を多角的な視点から考えられるよう、客観的事実に基づいた展示にする」などの表現にとどめている。複数の委員が「日本の加害責任ははっきり述べるべき」「日本の加害の歴史が伝わる内容に」などと注文。今後の詳細を詰める議論についても「意見を言える場を設けてほしい」と意見が出た。
 市に加害展示の維持を要望し続けている市民団体「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」の共同代表で、被爆者の川野浩一さん(83)は、素案について「『南京大虐殺はなかった』という意見に気を使いすぎて、あいまいな内容になっているように感じる。今後の議論にも注目していく」と話した。

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