18歳の新鋭モンテネグロが今季4勝目、ルノー表彰台独占でペーニャが3冠達成/TC2000最終戦

 新時代突入への過渡期を迎えたアルゼンチン最高峰のツーリングカー選手権、TC2000(旧スーパーTC2000)の最終戦が11月24~26日にコルドバのアウトドローモ・オスカー・カバレンで開催され、勝利こそ未来のエース候補である18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)に譲ったものの、予選最速としていた王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)がルノー陣営のワン・ツー・スリーを完成させる3位表彰台に上がり、自身3度目のチャンピオンを獲得。来季「次世代ツーリングカー規定」として導入が予告されてきた“SUVベース”の新型車両移行を前に、自身の最年長王座記録を更新してみせた。

 この最終戦を前にTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)の現エースであるジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)に対し、約100ポイントもの大量リードを築いたペーニャだが、自身“3冠”をどの順位で決めるかが焦点となった週末は、シリーズにとっても2.0リットル直列4気筒直噴ターボを搭載する400PS級のFFサルーンでの勝負にひと区切りがつく、節目のレースウイークとなった。

「今季はたくさんの仕事があった1年だった。2024年のTC2000にとって、SUVでの挑戦が始まる非常に良い時期を迎える」とラウンド前恒例の前夜祭で挨拶したのは、TC2000を運営するTango Motorsports代表のアレハンドロ・レヴィ。

「すでにいくつかのチームは新型車両の開発テストやホワイトボディのデリバリーを受けている段階だが、TC2000では熾烈なランキング2位争いが続いており、この最終戦の週末も良いショーが期待できるだろう」

 その当事者として、ファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT)やモンテネグロらとポジションを争うサンテロも、同席上で次のように続けた。

「このコルドバはTC2000において我々がもっともよく知っているサーキットで間違いない。カバレンに観戦に来たファンには、あらゆるショーが保証される。僕としてはチャンピオンシップ準優勝のためにすべてを託すつもりだ」

 そんな“ショーアップ”の要素は早くもフリープラクティス(FP1)から現れ、オープニングセッションをルノーのペーニャが制すと、続くFP2はトヨタのサンテロが、最後のFP3はホンダ陣営YPFホンダRVレーシングのエースを務める元2冠王者ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)が首位タイムを奪う。

 しかし予選では「自宅から1ヤード」の地の利も活かした王者ペーニャが最速とし、キャリア通算29回目のポールポジションを獲得した。

「今季はたくさんの仕事があった1年だった。2024年のTC2000にとって、SUVでの挑戦が始まる非常に良い時期を迎える」とTC2000を運営するTango Motorsports代表のアレハンドロ・レヴィ
予選では王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)がキャリア通算29回目のポールポジションを獲得した
11月24~26日にコルドバのアウトドローモ・オスカー・カバレン現地でも、デモランを兼ねた『VW Nivus SUV(フォルクスワーゲン・ニーヴァス)』こと”プロトタイプ001″のテスト走行が催された

■ホンダは来季、2台のシビックと2台のZR-Vで参戦へ

 明けた日曜11時25分から開始された今季最後の『グランプレミオ・コロナシオン・ピレリ』決勝は、いつもと異なるシングルヒートの35分+1周勝負が繰り広げられると、グリッドのペナルティドローでマリアーノ・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)とTGRAのファクンド・アルドリゲッティ(トヨタ・カローラTC2000)がフロントロウからレースを進めていく。

 しかし主役の座を奪ったのはセカンドロウ3番手発進だったモンテネグロで、現TCRサウスアメリカ・シリーズのポイントリーダーは僚友をパスして首位に躍り出ると、そのまま前戦のポール・トゥ・ウインに続く今季4勝目、キャリア通算5回目のTC2000勝利を達成する。

 2位マリアーノの背後には8番手からの挽回を見せた王者リオネルが続き、4位のサンテロ、5位アルドゥソの日本車勢を従え、ルノーがワン・ツー・スリー独占の快挙でシーズンを締め括った。

 これでペーニャは48歳の最年長チャンピオン記録を更新するとともに、ホルヘ・オマール・デル・リオ(1980-1981-1982)、ガブリエル・ポンセ・デ・レオン(2001-2003-2005)、そしてホセ-マリア・ロペス(2008-2009-2012)に並ぶ3度目のタイトルを獲得。ルノー陣営アクシオン・エナジー・スポーツTC2000も連覇を成し遂げた。

 この最終戦前となる11月17~18日の週末には、リオ・クアルトで引き続き次世代SUVのテストが実施されており、先行披露されていた小型クーペSUV『フォルクスワーゲン・ニーヴァス』こと”プロトタイプ001″がトラブルなくマイレージを重ねることに成功。

 同じくファクトリー支援を受けるシボレー陣営YPFエライオン・オート・プロ・レーシングが、ロザリオのGMシボレー工場から小型SUV『トラッカー』のホワイトボディを納入されたのに続き、ホンダ陣営YPFホンダRVレーシングの拠点であるコルドバにも、2台の『ホンダZR-V』がデリバリーされた。

「ユニットは予定の時間どおりにメキシコ工場から到着した。これから組み立て作業が始まる」と明かすのは、ホンダ・モーター・アルゼンティーナのコマーシャルマネージャーを務めるビクトル・プルボスト。

「2024年のTC2000シーズンは、2台のシビックと2台のZR-Vで戦うつもりだ。そして2025年までに4台のSUVをサーキットに投入する計画を立てている。今季良いシーズンを過ごした後、我々は契約を更新した彼ら(ベルナルド・ラヴァー/ハビエル・スクンチョ-モーロ)に対して新たな信頼を置いている。さらに2名の空席を埋めるために交渉を続けていくつもりだ」

マリアーノ・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)とTGRAのファクンド・アルドリゲッティ(トヨタ・カローラTC2000)がフロントロウに並ぶも、最後はモンテネグロ(右)がキャリア5勝目を手にした
TOYOTA GAZOO Racing Argentina(TGRA)の現エースであるジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)は、ランキング2位でシーズンを終えた
これでペーニャは48歳の最年長チャンピオン記録を更新するとともに、ホセ-マリア・ロペス(2008-2009-2012)らに並ぶ3度目のタイトルを獲得した

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