4万5千羽を殺処分へ…毛呂山の採卵鶏農場で鳥インフル発生 54農場の10万5千羽、移動や搬出を制限

防疫措置が取られた毛呂山町の採卵鶏農場(埼玉県提供)

 埼玉県は11月30日、毛呂山町の採卵鶏農場で発生した高病原性鳥インフルエンザの疑い事例について、遺伝子検査で陽性が確認されたと発表し、同日午前9時から同農場で飼育する鶏約4万5千羽の殺処分などの防疫措置を開始した。

 殺処分は12月2日朝に、汚染物品の処理・消毒は同3日に終了する見通し。県は当該農場から半径3キロ以内を移動制限区域、半径10キロ以内を搬出制限区域に設定し、圏内の計54農場で約10万5千羽の移動や搬出を制限した。

 県畜産安全課によると、29日に当該農場から「死亡羽数が増加している」と通報があり、A型インフルエンザ簡易検査で13羽のうち11羽が陽性となった。30日に県の中央家畜保健衛生所で遺伝子検査を実施し、10検体のうち気管の検査で8検体、総排せつ口の検査で7検体から、H5亜型の陽性が確認された。

 海外から渡り鳥が飛来する10月ごろを起点とし、養鶏場での鳥インフルエンザの発生は佐賀、茨城に次ぎ全国で今季3例目。県内では野鳥の鳥インフルエンザ陽性は今季確認されていないものの、全国では1道8県で38件(29日午後3時時点)の陽性が確認されている。

 県は午前8時15分から大野元裕知事を本部長とする緊急対策本部会議を実施し、これまでの経過と今後の対応について確認。大野知事は「各本部員はそれぞれの役割を全うし、県民の不安を解消するよう、引き続き全力で任務に当たっていただきたい」と訓示を述べた。

 大野知事は農林水産省の鈴木憲和副大臣とのオンライン会談後に会見を行い、「県としては国と連携しながら、迅速な初動対応、監視体制強化に取り組む。可能な限り風評被害の防止、営業の継続について支援していく。養鶏農家の皆さんには防疫、封じ込めにご協力を頂きたい」と語った。

農林水産副大臣とのオンライン会談後、会見した大野元裕知事=30日午前、埼玉県庁

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