松本隆も絶賛する歌世界、吉澤嘉代子の梅田クアトロ公演が発売

ヤマハ主催のコンテスト『The 4th Music Revolution』のジャパンファイナルに出場し、見事グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2014年にミニアルバム『変身少女』でデビューを飾ったシンガーソングライター・吉澤嘉代子を知っているだろうか。

吉澤嘉代子

彼女が生み出すのは、物語性の高い楽曲の数々。朝帰りする女子の心情を情緒豊かに表現した『残ってる』、女の子を好きになってしまった女の子の苦しい思いを歌った『うそつき』、亭主の首をもってタクシーで逃げる妻を描いた『地獄タクシー』、異国の城下町、普段は目立たない町娘が真夜中に女怪盗に変身する『怪盗メタモルフォーゼ』など、年齢も職業も性格も国籍も時代も境遇も異なる女性が置かれた状況や目に映る風景、その胸に抱えた思いをヴィヴィッドに描き出す。

ときに切なく、ときにユーモラスな詩情をたたえた歌詞、80年代の歌謡曲やポップスの哀愁とキラキラ感を彷彿させるサウンドが醸し出す歌世界は、綾小路翔(氣志團)、ヒャダイン、松本隆、清水依与吏(back number)といった人々も絶賛。

キュートな不思議ちゃんのようで毅然とした強さを感じさせる、つかみどころのないキャラクター。クセのある甘く透明な歌声もたまらなく魅力的で、胸の奥のやわらかな部分をぐいぐいと掻き立てられるのだ。ライブでは、スナックのママに扮してトークとライブを繰り広げる人気企画「すなっく嘉代子」など、演劇的ともいえる独創的なパフォーマンスを披露している。

もはや、単なるミュージシャンという枠を超えた規格外すぎる才能に反して、一般的な認知度はまだまだ低いと言いたくなるが、現在放映中のドラマ『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ)の第1話では、泉澤祐希演じるタイムトラベラーと恋に落ちる路上ミュージシャン役で出演。世間が彼女に注目する日もそろそろ秒読み間近だ。

そんな彼女が「青春」をテーマにしたニューEP『若草』を引っ提げたツアーを開催する。「初めてバンドを組んだ高校生の頃の気持ちを思い出して大切に歌います」とのことで、甘酸っぱい夜に期待したい。

関西では2024年1月24日に「梅田クラブクアトロ」(大阪市北区)にて。チケットは12月2日から発売される。

文/井口啓子

吉澤嘉代子Live House Tour "若草"

日時:2024年1月24日(水)・19:00〜
会場:梅田クラブクアトロ
料金:6600円(ドリンク代別途要)

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