地元産、多人数用に需要 石川、富山の百貨店で歳暮商戦が本格化

  ●コロナ5類後初の年末年始/帰省増で自家消費

 石川、富山両県の百貨店で歳暮商戦が本格化してきた。地元産のかぶらずしや地酒、和菓子の人気が根強い。新型コロナの5類移行後、初の年末年始を控え、親戚の集まる機会が増えるとして、自宅用に大勢で食べられるグルメ商品を購入する人も目立つ。店頭では今週末から商戦ピークを迎え、販促に一層力を入れている。

 師走入りした1日、金沢市の香林坊大和と金沢エムザの歳暮ギフトセンターには、商品の見本を見て回る夫婦の姿が見られた。両店は今週末の2日から一段とにぎわいが増すと予想する。

 香林坊大和では、12月下旬に届くよう自宅宛に商品を注文する人が増えている。県内外の料理店が提供する鍋セット、和洋菓子など多人数で楽しめる商品が売れているという。

 担当者はコロナ明けで対面を避ける動きが薄れているとし「贈りたい人の家へ直接持って行こうと考えて、自宅に送る人も多いのではないか」と話す。県外の家族が帰省した際にいつでも食べられるよう、賞味期限の長い商品も引き合いがある。

 1番人気は地元産品から3種類を選べる「北陸こづつみ」。ジャンル別の人気ギフトはいずれも石川産品が占め、地元の味を楽しんでほしいと考える人が多いという。

 金沢エムザでも地元志向が強く、石川県内の菓子や地酒などを集めた「百万石の味」の人気が高い。一方で、大手メーカーのクッキーやチョコレートなどの洋菓子を選ぶ人も多く、担当者は「年末年始に自宅で集まって食べられ、日持ちするものを求めているのだろう」と話した。

 来年3月16日の北陸新幹線敦賀開業に合わせ、金沢―敦賀間の沿線地域の産品14点を特集した特別企画も用意した。ギフトセンターの同企画特設コーナーに足を止める来店客が多く、越前がにの雌「せいこがに」を使ったグラタンなど福井産品も売れている。

 両店とも歳暮全体の売れ行きは堅調に推移しており、最終的には前年並みかやや超えると予測する。

 富山市の富山大和では、かぶらずしや飛騨牛のすき焼き用肩ロース肉など北陸・中部圏の品が売れている。2日には、とやま和牛「酒粕育ち」の販売会を初めて開き、地元和牛のアピールを強化する。

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