集まれカヌー女子 富山北部高、部員不足「フォア」出場へ奔走 日本一の先輩に続け

白岩川で練習する(奥から)砂場、若瀬、深川=富山市水橋畠等

 創部4年目にして、初めて全国優勝を成し遂げた富山北部高カヌー部が歴史をつなごうと奮闘している。スプリント女子カヤックで3年生ペアが鹿児島国体の頂点に立ち、後輩も続けと厳しい練習に汗を流す一方、新チームの女子部員は2人だけ。このままでは花形種目のフォア(4人乗り)の出場すらかなわない。メンバーは来春の新入部員勧誘へ早くも手作りチラシのアイデアを練り、仲間集めに奔走する。

 富山北部高カヌー部は2020年に始動し、今年は深川満那・砂場彩衣佳組が8月の日本ジュニア選手権、10月の国体でいずれも500メートルと200メートルの2冠に輝いた。小学生の頃からカヌーに打ち込んだ深川と、兄の影響を受け高校で初めて艇に乗った砂場。競技歴に差はあっても、刺激しあって日本一まで駆け上がった。

 年代別日本代表にも選ばれた深川は「仲間が増えることが一番うれしかった」と口にし、砂場は「周りのサポートのおかげで、高校から始めても全国1位の景色を見られた」とにっこり。それぞれ立命館大、関西学院大とカヌー強豪校への進学を決め、意欲を燃やす。

 そんな2人に力をもらう同部の後輩選手は、男子が2年生5人と1年生3人、女子は2年生2人。女子主将を務める若瀬茉彩は「先輩たちは時間がない時でも素早く行動し、ハードな練習を重ねていた。見習って強くなりたい」と気を引き締め、連帯感が強まるフォアへの出場を熱望する。

 来春には部員一人ずつオリジナルのチラシを作り、新入生に魅力をアピールする。若瀬は「女子の後輩が入れば、私も指示を出す立場になってより成長できると思う」と期待を込めた。

 同部は昨年4月に統合した旧水橋高のカヌー艇庫を引き継いで活動する。学校から10キロ先にある滑川市寄りの艇庫に通うため、富山市中心部付近から通学する生徒にとっては、入部が難しくなる要因にもなる。

 学校から艇庫までは、松﨑陽祐監督(34)が運転するマイクロバスでの移動が基本だが、あいの風とやま鉄道の利用を余儀なくされることもあり乗車料金が掛かり、自宅までの帰路が遠くなるケースも。ネックはあるが、未経験者も挑戦したいと思ってもらえるよう、部員は楽しさを存分に伝えるつもりだ。

 水橋高で競技を始め、高校・大学日本代表となった松﨑監督は「目標はインターハイや国体での総合優勝。そのためには人数が必要」と飛躍を見据えた。

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