「ヒントがあって思い出すことはできたけど1番難しかった」認知機能に運転技能を検査 高齢者ドライバーの事故相次ぐ中 運転免許更新の現場をのぞいてみた

2023年10月、浜松市で下校途中の小学2年生3人が75歳のドライバーが運転する車にはねられる事故がありました。こうした高齢ドライバーによる事故が絶えない中、高齢者の免許更新の手続きでは、どんな検査が行われているのでしょうか。調べてきました。

【写真を見る】「ヒントがあって思い出すことはできたけど1番難しかった」認知機能に運転技能を検査 高齢者ドライバーの事故相次ぐ中 運転免許更新の現場をのぞいてみた

70歳以上のドライバーは、高齢者講習を、75歳以上は、さらに認知機能検査と運転技能検査を受けなければ、免許の更新ができません。そのため、静岡県内42の教習所では、講習と検査がほぼ毎日行われています。

認知機能の検査では、こんなテストが行われていました。

16枚のイラストを4分間で覚えて、あとで記入する問題やたくさんの数字の中から指定された数字だけに斜線を引く問題。いまが何年、何月、何日の何時かを聞く問題などもありました。

<受講者>
「1番難しかったのは認知機能で絵を覚えて、時間をおいてから記入するのが…ヒントがあって、そこで思い出すことはできたけど、それが1番難しかった」

認知機能検査は、100点満点で36点以上取れれば、認知症の恐れはないと判定され、36点未満だった場合は、専門医の診断や診断書の提出がなければ免許の更新はできません。

36点以上という基準は、脳科学に基づく根拠をもって決められている点数だそうです。さらに実際車に乗っての指導もあります。

実車指導では、高齢者に向けた独自の検査項目があります。段差を乗り越えて1メートルの幅の間で一旦止まって、慌てずに乗り越えることができるか、といったチェックです。

適切にブレーキとアクセルを扱えないと、止まることができず、乗り越えてしまうことになります。

<静岡県自動車学校 望月裕正さん>
「実際に(検定を)やってみると高齢者は個人差が大きくて、同じ人でもその日の体調によって点数が異なる例も見ているので、高齢者と一括りで判断するのではなく、それぞれ個別に見た方がいい」

静岡県自動車学校では、2024年春から県内で初めて運転技能を客観的に評価するサービス「セフモ」を導入予定です。

GPSを利用し、停止線やセンターラインをオーバーしたかを車載カメラで録画。自分の運転を動画と数値で見直すことができます。

数値化することで、同年代の人たちの運転と比べたり、前回の更新時より劣ってきた部分などを確認したりもできます。

「セフモ」のような高齢者の運転技術を評価することに加えて、自動ブレーキなど安全運転を支援してくれる技術の進展。さらに免許返納後も生活に不便が出ないようにする社会の仕組みの整備も重要です。

© 静岡放送株式会社