京都の水産系高校が「難題」マサバ産卵に成功 創意工夫で「高校生初」の成果

飼育していたマサバの餌の量や種類などを記録し続けた(右から)蒲さん、永谷さん、松本さん=宮津市上司・海洋高

 京都府宮津市上司の海洋高校マリンバイオ部の部員が、飼育が難しいサバ科サバ属のマサバの自然な産卵とふ化に成功した。全国水産高等学校長協会は「水産系の高校での成功例は聞いたことがない」と評価し、部員は「高校生で初めて実現できてうれしい」と喜んでいる。

 3年の永谷想生(ながやそう)さん(17)が2年前から飼育を始め、1年の松本海斗さん(15)と蒲凰佑(かばおうすけ)さん(16)も加わった。

 21年夏、1年だった永谷さんが学校の桟橋や近くの漁港で全長10センチ前後のマサバを大量に釣り、育て始めたものの、敏感でストレスに弱く100匹が約2カ月で半減した。

 そのため、回数や量、栄養素の異なるタイプの配分など餌の与え方を逐次記録し、成長に合った最適な方法を研究。海水の入れ替えもこまめにするなど、気を配り、2年間で約30匹が30センチ超まで成長した。

 単に成長させるだけでなく「高校生初の試みを」と、育てたサバの自然産卵に乗り出した。今年5月にオスとメスを同じ水槽で飼い、自然に受精するのを待ち、6月中旬ごろ、1500~2千個の卵から2代目となる約80匹が誕生した。

 2代目のサバは現在、9月まで続いた記録的猛暑の影響のため、15匹前後に減ってしまった。しかし、永谷さんは「2年間、蓄積してきたデータを参考にすれば再び個体を増やせるはず」と期待し、後輩の2人も「生まれたサバから3代目、4代目とつないでいきたい」と意気込んでいる。

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