料理にはすごい力がある/映画「弁当の日」監督・安武さん(福岡市在住) 十和田で講演

妻・千恵さん、娘・はなさんとの生活や、弁当の日の取り組みなどについて語る安武さん

 ドキュメンタリー映画「弁当の日」監督で、「はなちゃんのみそ汁」著者の安武信吾さん(福岡市在住)の講演が2日、青森県十和田市のサン・ロイヤルとわだで行われ、約190人が耳を傾けた。安武さんは「料理にはすごい力がある。弁当の日は食育のカテゴリーに収まりきらない世直しの具体策」と語った。

 講演は青少年育成十和田市民会議の構成団体の合同研修会の一環で、有志団体「市弁当の日応援団」が共催。「弁当の日」は児童や生徒が自分で作った弁当を学校に持参する食育活動で、同市は本年度、推進事業を行っている。

 安武さんは「はなちゃんの-」で記したがんで33歳で亡くなった妻・千恵さんが娘・はなさんに食を通じて生きる力を伝えていたことなどを振り返った。はなさんが反抗期を迎え、自分と口をきいてくれなかった時も弁当を作り続けたと紹介し、「料理にはいろいろなメッセージが込められていて、特に感じるのはあなたが大切ということ。娘も何もしゃべらなくても感じてくれたかなと思う」と話した。

 安武さんは弁当の日について「家庭で食卓を囲むなどの体験を自然な形で子どもや親ができるような仕組みを作ったことがすごい」と強調。「十和田でも弁当の日が広がって、子どもたちの笑顔あふれる街が広がるよう頑張ってください」とエールを送った。

 研修会では講演に先立ち、ちとせ学区青少年健全育成協議会と十和田おいらせライオンズクラブが活動を報告した。

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